アーチェリーで日本人初のオリンピック(五輪)メダルを獲得した道永宏さん(63=同大監督)が、練習自粛を余儀なくされている現役選手たちへ、アドバイスした。
同大2年、19歳で臨んだ1976年モントリオール五輪で銀メダルを手にした。1年延期となった東京五輪に向け、いかにピークを持って行くかが大事と指摘。「来るべき時に向けて今はしっかり体を休ませよう」と言い、焦りは禁物と訴えた。
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初の国際大会がモントリオール五輪で、怖いもの知らずだったという。当時の日本のレベルは低く、大会前には選手派遣の是非を問う報道もあったというが“批判”もバネに結果を出し、引退後は母校監督に就任。来年3月の東京五輪の代表最終選考会に出場する安久詩乃らを、指導している。
-当時は
道永さん 代表監督から「世界ランキング下位でメダル獲得の可能性が薄いアーチェリー選手を派遣するのは、税金の無駄遣い」と記事になっていたと言われ、何くそ! と悔しくなりました。銀メダルを取れたことでざまあみろと思いました(笑い)。
-緊張は
道永さん なかったと言ったらうそになるけど、若かったので。海外選手についてはほとんど情報がなく、試合前にライバルをチェック。自分よりもうまい人は数人しかいないなと思った。同志社では朝から晩まで練習漬けの生活を送っていましたので、自信があったんだと思います。
-80年モスクワ五輪不参加が決まり、現役引退
道永さん オリンピックに行けないと分かり、選手として競技をすることを諦めました。結婚して子どももいたので、学生時代のようにアーチェリーだけに打ち込むことが難しかったんです。
-母校で指導し、後輩には東京を目指す選手もいる。1年延期の影響は
道永さん 1年というのは、とてもしんどいです。また気持ちを作り直さなければいけないし、4月上旬から練習自粛で選手たちと顔を合わせることがなくなり、どうしているか心配です。私もそうでしたが、選手は毎日練習していないと、不安になるんです。
-どうサポートする
道永さん 自宅でのトレーニングを動画で送ってもらい、アドバイスしています。やきもきしていても、しょうがない。来るべきときに備えて、部屋を片付けたり、心を落ち着かせたりしてと言っています。
【聞き手=平山連】
◆道永宏◆ みちなが・ひろし。1956年(昭31)10月8日生まれ、神戸市出身。アーチェリー選手だった両親に付き添い3、4歳の頃から近所の射場を訪れて、競技に親しんでいた。兵庫・葺合高で本格的に競技を始めた