陸上の東京五輪テスト大会(国立競技場)を翌日に控えた8日、出場する4選手がオンラインで会見した。

国際オリンピック委員会(IOC)が、東京五輪・パラリンピックの各選手団に新型コロナウイルスのワクチンを無償提供すると発表したことについての受け止めを聞かれた。

女子5000メートルに出場する新谷仁美(33=積水化学)は、はっきりと言った。

「自分が打たないことで他の人に危険が及ぶのであれば打ちます。打ったことでの症状は異なっているので、そういう面では、正直なところ恐怖もある。症状がどう出るかは分からないので、打ちたくないなという気持ちはあります。アスリートにワクチンを打つのは、個人の意見ですが、どの命に対しても、大きい、小さいは全くない。アスリートだけが、五輪選手だけがというのは、私としてはおかしな話だなと思う。優先順位をつけること自体がおかしな話。国民であっても、五輪選手であっても、アスリートであっても、そこは平等に、どの命も守らないといけない。平等に考えていただきたいなと思っています」。

男子100メートルの桐生祥秀(25=日本生命)は、まだ自分の中でも答えは明確な見つかっていない。「高齢者の方が優先だと思う」とした上で「自分の意思のしっかりもってどこかで発言できるようにしたいと思います」。

女子100メートル障害の寺田明日香(31=ジャパンクリエイト)は「感染の不安を与えてしまったり、負担を強いてしまうことにつながるので、ワクチンに関しては打つ必要性があると考えている。ワクチンが行き渡っている国もあれば、日本のように行き渡っていない国もある。私たちが断れば、皆さんに渡れるのであればうれしい話であるが、そういうことは叶わない。動向を見ながら考えていきたい」と語った。

女子1500メートルに出場する田中希実(21=豊田自動織機TC)は言葉を選びながら「私個人としてはまだ少し怖いかなというのがある。アスリートは選ぶ権利が与えられただけ。アスリートは権利に対して考えることしかでいないかなと思っています」と話した。