新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、公道での開催を断念した大阪府の東京五輪の聖火リレーが13日、代替コースとなった万博記念公園(大阪府吹田市)で行われた。大阪で全国10府県目となるが、公道での開催回避は初めて。公園内を閉めきって一般の観客を入れない異例の聖火リレーとなった。大阪府内で13日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者は1099人。1000人を超えるのは初めて。10日の918人を上回り、過去最多となった。

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13日午前9時過ぎ、出身地の堺市を走ることになっていた歌舞伎役者、片岡愛之助(49)が府内第1走者としてスタートを切った。静寂の中、トーチを掲げながら周囲に手を振り、聖火をつないだ愛之助は「いろいろな思いを感じながら走らせていただいた。勇気やパワーをいただき、忘れられない1日になった」と笑顔を見せた。

感染対策のため、公園内は関係者以外の立ち入りを禁止し、ランナー1人につき家族ら4人までの観覧に制限した。ランナーは太陽の塔などがある公園内を約200メートルずつの15区間に区切った周回コースを1区間ずつ走行。沿道から見守った家族らは声援の代わりに、拍手を送った。

落語家桂文枝(77)は聖火を引き継ぐと「オリンピック、いらっしゃ~い」と言い、ゆっくりとコースを回った。お笑いコンビ「ハイヒール」のリンゴ(59)も軽快に走行。12年ロンドン五輪の競泳女子100メートル背泳ぎで銅メダルの寺川綾さん(36)は太陽の塔を背に走り、ゴール地点では両親の出迎えを受けた。「(公道での聖火リレーが中止となり)みんなの思うような形ではなかったと思うが、リレーができたという事実がすごいと思う」と話した。

一方、大阪の感染拡大は止まらない。府内で13日に新型コロナウイルスの新規感染者は1099人。初めて1000人を超えた。吉村洋文知事(45)は13日、感染状況について「極めて厳しい」とする一方、政府に対する緊急事態宣言の要請は、まん延防止等重点措置の開始から2週間が経過する「19日の週の状況を見て判断する」とし、要請も視野に入れている。

SNS上では感染拡大が続く中での聖火リレーを継続することへの批判もある。吉村知事は「感染対策を徹底し、つぎのエリアにつなげていきたい」と強調した。大阪府のリレーは14日も同公園で実施される。【松浦隆司】

 

◆13日の聖火リレー 全国初の公道外のリレーとなった。公園内を閉めきって一般の観客を入れない異例の形式で実施。太陽の塔や国立民族学博物館周辺など約3キロを15区間に分け、周回コースをランナーが走った。府内第1走者を堺市出身で歌舞伎役者、片岡愛之助が務めた。大阪府枚方市出身で、お笑いタレントでマラソンランナーの森脇健児(54)、Little Glee Monster(リトルグリーモンスター)のかれん(22)らも快走。14日の大阪2日目も同公園の周回コースで実施される。2日間で100人以上のランナーが走る予定。