東京都の小池百合子知事(68)は11日、都庁で定例会見を行い、東京五輪・パラリンピックに関するパブリックビューイング(PV)などのイベント開催可否の結論を保留した。埼玉、千葉、神奈川などの知事らが五輪期間中のPVや聖火リレー公道開催中止を決めた一方、小池氏は各自治体と意見交換しながら開催を模索する意向だ。4日に武蔵野市から中止要望書が提出された、都などの主催でPVなどを実施する「井の頭公園ライブサイト」も、1週間経過したが答えを出していない状況だ。

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小池氏は五輪関連の質問に、小さくうなずきながら淡々と答えた。「ライブサイト」に関しては「複数の自治体でパブリックビューイングが準備されている。(中止を求める)ご要望等はいただいておりますが、いろいろな意見交換をしながら、組織委員会のガイドラインや政府のイベント開催制限を踏まえて調整していくことが現時点です」。代々木公園は7月1日からワクチン大規模接種会場に変更を決めたが、井の頭公園、上野公園など他会場は実施予定。都が全PV会場で中止を検討しているとの一部報道については「ファクト(事実)ではありません。事実誤認」と憤る場面もあった。

井の頭公園PVは4日に武蔵野市から中止要望書が都に提出されている。武蔵野市の担当者によると、すでに都職員と直接対面や電話、メールなどで感染防止対策の説明などは受けているが、結論の回答はないと言う。松下玲子市長も中止を求める意向に変わりはない。

聖火リレーも同様だ。都では7月9日に駒沢オリンピック総合運動場からスタート。同23日に都庁にゴールするまで、島しょ部を含む全市区町村を15日間で巡る。セレモニーは事前予約制で密を避ける対策を講じるが、リレーは通常通り公道実施の予定だ。一方、都内の自治体によっては出発式や到着式の無観客および中止、大会時のPV中止を決定している。

田村憲久厚労相はこの日の閣議後会見で、埼玉や千葉のPV中止について「適切な判断。自宅で応援いただきたい」と発言。今後は都とも対応を協議するとした。首都圏でも五輪関連イベント等の計画変更の流れが加速しているが、小池氏は具体的な言及は避けた。都の聖火リレー初日まで、あと27日。五輪開会式まで41日。結論を出すべき時期は迫っている。【鎌田直秀】