東京都の小池百合子知事は21日、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの観客数上限を決める5者協議での「収容定員50%以内で1万人」正式決定に、気を引き締め直した。

都庁で取材に応じ、「感染状況が急激に悪くなった時は再び5者協議を開いて(無観客も含めて)協議するという、なお書きがある。リバウンドを許さない意識を共有したい。さらに対策を徹底していただく時期と伝えていこうと思っております」。感染再拡大や、医療提供体制がさらに悪化すれば無観客もあり得るだけに、有観客開催の維持へコロナ対策の徹底を国民、都民に呼びかけた。

緊急事態宣言が解除され、この日から都内では飲食店の酒類提供が、条件付きで一部緩和された。「重点措置に変わったのは、感染対策がしっかり出来ていてこそ。飲食店の皆さんも制限はあるものの、ようやく酒の提供を迎えられた気持ちでいらっしゃる。皆さんの努力が水泡に帰することになってはいけない」。東京都の新規感染者数は1週間平均で前週比103%と増加傾向にあり、変異株の懸念も強まっている。1日当たりの新規感染者数が数週間後に1000人を超える可能性を示唆する専門家もいる。まん延防止等重点措置は7月11日まで。小池氏には人々の安全確保と同時に、五輪の有観客開催が泡となって消えるのを避けたい思いもある。

また、全面中止にした大会中にパブリックビューイングなどを行う「ライブサイト」に関し、予定していた東京の文化などを世界に伝える催しは「デジタル技術を使って発信していく」と言及。感染拡大に直結する人の流れを最小限に抑えつつ、有観客への国民理解を深めていく数週間になりそうだ。【鎌田直秀】