空手の女子組手61キロ超級で東京オリンピック(五輪)代表に決まった植草歩(27=JAL)が3日、遠征先のオーストリアから帰国し、羽田空港で会見した。

東京五輪へ向けて強い決意を口にするとともに、新型コロナウイルス感染拡大の余波を受けた高校生選手たちの心中を思いやった。

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代表決定は、あくまで通過点に過ぎない。植草は「東京五輪で優勝する過程の1つだと思っている。安心せずに練習していく」と気持ちを入れ直した。

プレミアリーグ・ザルツブルク大会(現地時間29日)で、代表の座を争っていた染谷香予(テアトルアカデミー)が3回戦で敗れて五輪代表の座が確定した。優勝で花を添えたかった植草だが4回戦で敗れ、「負けているのに『おめでとう』となって、なんとも言えない気持ち」と複雑な心中を吐露。東京五輪では心から喜ぶために、「ここから5カ月、自分の人生を賭けてオリンピックで優勝したい」と決意を込めた。

今大会前の約1カ月間は、師事する崎山幸一氏が監督を務める香川・高松中央をはじめ、母校の千葉・日体大柏、大阪・浪速の3つの高校で練習を行ってきた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、各校での練習が不可能となり、「ちょっとしんどいとは思う」と口にする。今後しばらくは母校である帝京大を練習拠点に戻す予定だ。

その高校空手界では、26日から開催されるはずだった全国選抜大会が中止になった。植草は、「目標にしていた大会がなくなり、むなしい気持ちと思う」と若い選手たちの心中を察しつつ、「自分の研究やトレーニングにフォーカスできる。いつもと違う視点から、強くなるために励んで欲しい」とエールを送った。【奥岡幹浩】

<空手代表選考状況>

新種目の空手は、男女形の喜友名(劉衛流龍鳳会)と清水希(ミキハウス)、組手男子75キロ級の荒賀(荒賀道場)、同75キロ超級の西村(チャンプ)の4人が東京五輪出場をすでに決めており、今回の女子55キロ級の宮原と同61キロ超級の植草を加えると、8階級のうち6つで代表が決まった。残り2枠は男子組手67キロ級で佐合(高栄警備保障)と篠原(マルホウ)、女子組手61キロ級で染谷真(茨城県職)と森口(AGP)が争っており、今月13~15日のプレミアリーグ・ラバト大会で決定する。