史上初となる五輪延期に伴い、来年7月23日開幕の東京大会に備えて国内保管となっている聖火が、日本列島を回る構想があることが2日、明らかになった。大会組織委員会の森喜朗会長(82)が同日、5月以降に全国各地を展示巡回するプランを示した。高市早苗総務相から「地方創生の1つの事業として何かできないか。総務省として考えたい」と提案されたという。

47都道府県の859市区町村を、121日間かけて回る聖火リレー。そのルートに含まれていない山間部などに運ぶ案が挙がっている。関係者によると、手を挙げた自治体を精査した上で預け、展示してもらう計画を考えている。ただ、条件は厳しい。聖火が納められたランタンを2人態勢で24時間、警備することが必須であったり、過度な密集を避けるための万全の新型コロナウイルス感染拡大防止策が求められる。イベント実施に対する国民の感情にも配慮しつつ、基準をクリアできる自治体を探す。

また、森会長は、聖火の活用には国際オリンピック委員会(IOC)の了承が不可欠だとし「これから相談しなければならない」と述べた。組織委の武藤事務総長も同日、都内で「検討するよう(職員に)指示はした。総務省として実行したいとのことなので協力したいと思う」と補足した。

ギリシャで採火された聖火は3月20日、宮城県の航空自衛隊松島基地に到着した。しかし、同26日から予定されていた聖火リレーも延期となり、現在はグランドスタート地点だった福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」で展示が始まっている。この日から30日まで一般公開された後、5月から五輪開催地の東京都で保管される予定だったが、来夏への機運醸成、この時世に少しでも明るい話題になれば、と方針が変わった。