国際オリンピック委員会(IOC)の古参委員であるディック・パウンド氏(カナダ)が、新型コロナウイルス感染拡大が収まらず21年夏の東京五輪が仮に再延期か中止となった場合、その約半年後に予定されている22年北京冬季五輪も開催が困難になるとの見方を示した。ロイター通信が15日、同氏のインタビューとして報じた。

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北京冬季五輪は東京五輪の約半年後、22年2月4日から20日に開催が予定されている。パウンド氏は「東京大会の後、同じアジア地域で、ウイルスの連鎖反応が起きないとは思えません」と懸念。来夏、東京大会が開催できない状況なら、北京大会にもその影響が及ぶと指摘した。

香港への統制を強める中国政府と米国間の政治関係が不安定なことも、北京冬季五輪の不安材料として挙げた。ただ、17日のIOC総会では「五輪関連のテーマは東京が中心となり、北京冬季五輪の影響まで議論されないだろう」と述べた。

パウンド氏は3月24日に東京五輪の延期が決定する1カ月前にも、「開催判断時期は5月下旬」「1年延期も不可能ではない」などと観測気球とも取れるさまざまな発言で、物議を醸していた。

東京五輪のある大会関係者は「IOCは欧米の委員が多い。新型コロナウイルスのパンデミックから明けた後の象徴的な大会は『24年パリ五輪で』と思っている委員もいるだろう」と指摘していた。その上で、「日本側が東京五輪を中止する姿勢を少しでも見せたら、簡単にそう傾く可能性もある」と話した。

パウンド氏の発言の真意がどこにあるかは不明だが、東京五輪の延期が決定する1カ月も前、同氏の発言が世論を刺激したことは事実。アジアで開催予定の2大会の今後について、IOCの動向から目が離せない。