東京五輪・パラリンピック組織委員会は17日、来年に延期された東京五輪の競技日程を発表した。開幕が7月23日と本来の24日から曜日を合わせて変更されたのを受け、競技もそれぞれ1日前倒しで調整。会場や全施設を使える見通しがたち、この日組織委の森喜朗会長が国際オリンピック委員会(IOC)総会で報告した。同一会場、同一日程の決定で「安全で安心な五輪」開催へ前進した。

   ◇   ◇   ◇

IOC総会後の会見で、森会長は満足そうに話した。「選手たちは自分でスケジュールを立て、一番最高の時に照準を合わせていくことだと思う」。すべてのスケジュールは今年と同じ曜日、日付を1日前倒しして行われる。一部競技で開始や終了時刻を修正したが、時間もほぼ同じになった。

組織委では33競技、339種目を同じ日程で行うため、各会場の所有者と交渉を続けてきた。使用期間や補償問題など調整が必要な施設もあるが、使用に関しては合意。晴海の選手村、プレスセンターとなる東京ビッグサイトも含めて全施設で見通しが立った。

2年前の競技日程発表後に札幌会場に変更となった男女マラソンは、表彰式を国立競技場で行う。7日の女子、8日の男子ともに閉会式内で実施。競技会場では花束贈呈のセレモニーを行い、東京に移動してメダルを受ける。女子の表彰式を閉会式内で行うのは、五輪史上初となる。同じく札幌で実施される6日と7日の競歩も、表彰式は翌日に国立競技場で行われる。

最大の課題となる感染症対策。武藤事務総長は「出入国管理」「検査、治療態勢の整備」などを挙げ「組織委では無理。国が主導していただかないと」と、秋以降に本格的検討に入ると明かした。感染が再拡大する中で迎える開幕1年前。森会長は「今はコロナが最優先」としながらも「みんなで力を合わせて大会をやろうということは発信したい」と話した。史上初の延期五輪が、1歩ずつ開催実現に前進する。【木下淳、荻島弘一】

○…武藤総長は競技日程決定を受け、観戦チケットの払い戻しを今秋以降に実施する予定と明らかにした。「日程と会場が同じになったので観戦チケットは来年も有効。ただ、都合で来場できなくなった人には払い戻す。秋以降になるのは大量のチケットを扱う(返金)システムを構築中で完成の見込みが秋になるから」と説明した。また、大会延期の追加経費について「9月下旬のIOC調整委員会で全体像をお示ししたい。負担の議論は、その後になる」。12月には新型コロナ対策の中間的な取りまとめを行いたい意向も示した。