東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)が18日、開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクター佐々木宏氏(66)の辞任を受諾した。

橋本氏は都内で会見し、佐々木氏がタレント渡辺直美(33)の容姿を侮辱する表現を演出チーム内のLINEに送っていたことに「不適切で大変遺憾」と話した。開会式までわずか4カ月余りでの後任人事は「佐々木チームを維持しながら新体制をスムーズに整える」と現体制、計画を踏襲する考えを示した。

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「トップクリエーターが8人も集まれば互いの意見がぶつかってしまう」とある組織委幹部は話した。18年7月、演出の五輪統括となった映画監督の山崎貴氏だが、その状況に距離を置いたのか「自身の映画事業が忙しくなるのに合わせ式典立案から遠ざかった」と関係者。総合統括だった狂言師野村萬斎について式典チーム関係者は「話が観念的で抽象度が高く実効性に欠けていた」とし、こちらも自然と距離が離れた。

そこで3人組音楽グループ「Perfume」の演出などを手がけるMIKIKO氏が実質的なリーダーに。「本当に一生懸命だった」とある幹部。計画は国際オリンピック委員会(IOC)などから評価されていたがコロナで五輪延期が決まると演出計画の簡素化が必要になった。

組織委上層部は、白血病からの復活を目指していた競泳の池江璃花子を起用し、国立競技場でシンプルな大会1年前イベントを演出した佐々木氏が、開閉会式の演出トップにふさわしいと考えるようになる。はしごを外された形のMIKIKO氏は当然、納得できない。同氏が同11月に辞表を提出するまで、もめにもめ、同12月23日に佐々木総合統括の1人体制が誕生した。極秘プロジェクトが生み出した分厚いベールに隠れ、不透明な意思決定が続いていた。【三須一紀】