東京オリンピック(五輪)女子ソフトボール代表の山田恵里外野手(37=デンソー)が開幕まで2カ月を切った五輪への思いを語った。04年五輪銅、そして08年北京五輪金メダルを知る代表を束ねる主将。日本リーグで首位打者4度を獲得するなど歴代1位の通算433安打を誇り「女イチロー」とも呼ばれる。

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-今季は打率3割4分4厘。過去2シーズン(20年2割0分0厘、19年2割4分6厘)は苦しんだが、復調の気配

山田 「満足のいく結果ではないですが、ここ数年に比べるといい状態だと思います。19、20年はオリンピックへ向けてのプレッシャー、不安があり、うまく結果につながっていませんでした。昨年11月の代表合宿で宇津木麗華監督が『楽しもう』と言ってくださり、その一言で全てが変わりました。今はソフトボールに真摯(しんし)に向き合い、楽しめている自分がいます。それがいい方向に向かっているのかなと思います」

-心理面以外での変化は

山田 「19年シーズンは配球を読まずに、来たボールを打ちにいくことを試しました。ただ、うまくいかず、20年からはこれまで通りに配球を読んで狙い打つスタイルに戻しました。あらためて自分は狙わないとダメだなと思いましたね。ただ、20年シーズンは重圧で思うような結果は残せなかったですが」

-日立から今季はデンソーに移籍

山田 「将来は指導者としてソフトボールに携わっていきたいと考えています。選手生活も、もう長いとは言えないので、指導者になることを考えた時に、いろいろな事を学んだ方がいいのではないかと移籍を決断したのが1つの理由です」

-理想のキャプテン像は

山田 「まず求められているのは結果だと思います。そして背中で見せる部分が必要です。それでチームが上手に、いい方向に持って行くのがキャプテンの役割だと思っています。何が理想と言われると正直、分からないですが、そういうところなのかなと思います」

-東京五輪まで残り2カ月を切った

山田 「時間は限られています。グラウンドにいる時間もそうですし、帰ってからもミーティングが終わった後、また1人の時間もあるのですけど、オリンピックでどうやったら金メダルを取れるのかを常に考えてやっていく必要があると思います。1日1日を全力でやりきる準備をしていきたいです」

-東京五輪の目標は

山田 「世の中の状況を見ても、まだどうなるかは分からないですが、ソフトボールを通じて、明日から頑張ろうという気持ちになって欲しいという気持ちがすごく強いです。ソフトボールには今までお世話になってきました。しっかりと感謝の思いを伝え、恩返しのオリンピックにできたらと思ってます」

 

◆山田恵里(やまだ・えり)1984年(昭59)3月8日、神奈川県生まれ。御所見中まで軟式野球をやり、女子は「甲子園に出られない」と野球は辞めて、厚木商高からソフトボールの道に。高校総体では2、3年と連覇。日本リーグでは02年の高卒1年目から本塁打と打点で2冠。通算記録では安打数だけでなく、46本塁打、16三塁打、54二塁打、206打点も歴代最多。左投左打。165センチ。