【ベルリン=山本幸史】男子ケイリンで脇本雄太(30=日本競輪選手会)が銀メダルを獲得した。日本勢は同種目3年連続での銀メダル獲得。これで東京オリンピック(五輪)のケイリン代表入りを確実とした。新田祐大(34)は準決勝で破れ、7-12位決定戦で最下位に降格、一昨年の銀メダリスト河端朋之(35)は、準々決勝で敗退した。

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あと1歩で、世界王者の称号を逃した。銀メダルに歓喜はない。ゴール後、脇本は終始うつむいたまま。「メダルが取れてホッとしているのもあるし、なんで金が取れなかったんだという悔しさもある」と口を開いた。ラスト2周で先手を奪いに行ったが、その上から昨年のスプリント世界王者ラブレイセンに出られた。車輪1つ分、届かなかった。

それでも、自身初の世界選手権でのメダル。これで五輪代表入りは確実。ブノワ・ヘッドコーチは言葉を選びつつ「私としては(選考の)ポイントを獲得したなと思っている」と、トラック委員会での推薦を示唆。そして「テクニックに改善点がある。もう少し伸ばせる幅がある」と強化への自信を見せた。

世界一は、11年7月に亡くなった母幸子さん(享年51)との大事な約束だ。福井・科学技術高時代、国体1キロタイムトライアルで優勝。母は新聞記事を切り抜くとスクラップブックに「次は世界一だね」と書き込んだ。「満足せず、五輪での金メダルに変えていきたい。自分の中では前進した感じ。次の金メダルへの目標ができた」。ワッキーが五輪の舞台で悲願を成し遂げる。