【アテネ18日=三須一紀】新型コロナウイルスの世界的感染拡大の中、東京五輪の聖火引き継ぎ式が今日19日、厳戒態勢で行われる。前日というのに、式典を実施する第1回近代五輪(1896年)が開かれたパナシナイコ競技場周辺は、静寂に包まれていた。新型コロナウイルス問題の収束が見えない中、東京五輪の開催はどうあるべきなのか。五輪発祥の地、ギリシャで意見を聞いた。

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本来なら、にぎやかしく聖火引き継ぎ式のリハーサルが行われていたはずのパナシナイコ競技場は、普段と変わらず、静かに荘厳な空気を醸し出しているだけだ。テレビクルー十数人が淡々と中継の準備をし、五輪の聖火が華々しく日本へ旅立つ雰囲気はない。

飲食店が軒並み閉店、スーパーも入場制限をかけるなどギリシャをはじめ、欧州全体が異常事態の中、市民は東京五輪の開催についてどう感じているのか。

同競技場近くに住むアンドリア・ノースさん(33=観光業)は「7月にもし、日本で新型コロナが終息していても、収まっていない世界中の人々が東京に行くことになるでしょ? だから通常開催は難しいのでは」と語った。

仮に、同じ状況下がアテネで起きていた場合を想像してほしいと問うと「難しい質問だ…。でもパンデミックの中、う~ん、五輪はやるべきではないだろうね」と悩みながら答えた。

生まれも育ちも同競技場近くというスタブローラ・アンジェラキさん(42=休業中)は引き継ぎ式が縮小、無観客で実施することに「ここで生まれた者としては寂しいわね。例年、観客席がいっぱいになるほど盛り上がる」と回想した。東京五輪については「個人的には開催してほしい。けど、今の状況を考えると通常開催は難しいと思う」と答えた。

オーストラリアから観光に来ていたマイケル・カーティスさん(47=食品関係)は「開催すべきだ」と力強い。

「アスリートの努力はどうなるんだ。それ以外にも政府や運営関係者、いろんな人が努力して頑張ってきた。それを無駄にすべきではないと思う」と強い口調で話し、「なんとか(新型コロナが終息する)ミラクルが起きないものかね」と笑顔を見せた。

英国からサッカー観戦に来るも、新型コロナの影響で中止になり、同競技場を見学に来たグレイム・スタベリーさん(38=会社員)は「もう少し状況を見て、冷静に判断をした方がいい」と、今の日本側の方針に同調した。

同じく友人のジョン・キャンベラスさん(35=エンジニア)も「2週間前は通常開催すべきと思ってたけど、今は難しい。7月がどうなっているかによる。刻々と状況が変わるので判断は急がない方がいい」とした。もし今夏、東京五輪が通常開催されたら行きたいかと聞くとスタベリーさんは「ぜひ行きたい」、キャンベラスさんは「50%、50%だね」と話した。

誰に聞いても、興味深く質問を聞く市民たち。東京五輪の今後は、世界中の関心事ということが実感できた。