東京オリンピック(五輪)の聖火リレーは27日、山梨県2日目がスタートし、大月市出身で落語家の三遊亭小遊三(74)が、最初の区間となった笛吹市で第1走者を務めた。

大月市内を走った1964年(昭39)東京五輪の聖火リレーに続き、98年長野五輪で伴走者を務めたことを含めると、3度目の参加。「前回は都留高校卓球部の3年生でした。だいたいが運動部のキャプテン。学力優秀、品行方正、そして顔がいい。すべてに当てはまっていた。1・2キロ走りました」と振り返り、「今回は全然違う。山梨の方が声をかけてくれて本当に感謝しています。沿道からは『年寄り~』なんて言われましたけれど、みなさんのほうがよっぽど年寄りでね。『アラン・ドロン』なんてことも言われましたよ。景色を見るとヨーロッパみたい。ひょっとするとアラン・ドロンなのかな? と思いました」と笑わせた。

16年には心房細動不整脈によりカテーテル手術を行い、医師からは大好きな卓球の試合出場は止められている状況だ。だが、聖火ランナーが決まったことで、少しずつジョギングなどで体力回復を図り、今ではゆっくりと1500メートル程度は走ることもある。この日もトーチを手に約200メートルを走りきり、「短かったけれど、これ以上走ると息がきれるので、ちょうど良かったです。前回は煙がものすごくて、消防車が来るんじゃないかというくらい。今度はギリシャから来た火だなあと、ちゃんと見ましたよ」。

最後に落語家らしく謎掛けを求められると、全国用と山梨県用の2種類を披露。「聖火リレーとかけまして、おそばと解く」。その心は。「どちらも、つなぎが肝心です」。さらに「聖火リレーとかけまして、甲州名物ほうとうと解く」。その心は。「どちらも火加減がいいでしょう」。他の走者や報道陣からも大きな拍手を浴びた。【鎌田直秀】

◆27日の聖火リレー 山梨県2日目は、ブドウなどの果樹園、富士山5合目、河口湖周辺などを巡った。鳴沢村でスピードスケートで冬季五輪5大会連続出場の岡崎朋美氏、富士吉田市では18年平昌(ピョンチャン)五輪女子パシュート団体金メダルの菊池彩花氏らが登場し、プロレスラー武藤敬司は最終走者を務めた。28日は神奈川県へ。公道開催を全面中止し、トーチキスでつなぐ点火セレモニー形式で3日間実施される。タレントつるの剛士、84年ロサンゼルス五輪体操男子個人総合とつり輪で金メダル獲得の具志堅幸司氏らが参加する。