【あと17勝】ヤクルト石川雅規の挑戦に重なる…辿り着いた大洋・平松政次の200勝

ヤクルトのベテラン石川雅規投手が今年、22年目のシーズンに挑みます。43歳。現役最年長投手は、通算200勝にあと17勝に迫ります。昨年は6勝(4敗)でした。17勝は「近くて遠い」数字かもしれません。かつて肩痛に苦しみながら、200勝に到達した右腕がいました。1983年(昭58)、大洋(現DeNA)の平松政次投手は、開幕前に「200勝したら引退します」と公言し、同年最後の登板でたどり着きました。

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1983年10月21日 得意の巨人戦

平松の199勝目は83年10月9日の広島戦(横浜)だった。続く15日の同カードをゴールと決め、妻子を広島に招いた。しかし2回持たず47球でKOされた。

チームの残り試合は4。登板機会はあと1試合となって、21日の巨人戦を任された。

舞台は後楽園。雨が降りしきる中、それでも打線が奮起して5回までに8点を奪う。平松は4回まで無安打投球。あと1イニング抑えれば、勝利の権利を得る展開だった。

◆平松政次(ひらまつ・まさじ)1947年(昭22)9月19日、岡山県生まれ。岡山東商時代の65年、センバツ甲子園で優勝。中日から4位指名を受けながら日本石油(現JX-ENEOS)入り。67年、都市対抗優勝の直後に、前年2位指名を受けた大洋(現DeNA)と契約した。「カミソリ」と呼ばれたシュートを武器に通算201勝。巨人から51勝を挙げた。70、71年最多勝。70年沢村賞。79年最優秀防御率。84年限りで現役引退。2017年に野球殿堂入りした。

5回に2失点。流れが変わった。6回には4点を失い、なおも四球を与えて1死一塁と走者を背負う。それでもベンチの関根潤三監督は動かない。

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徳島・吉野川市出身。1974年入社。
プロ野球、アマチュア野球と幅広く取材を続けてきた。シーズンオフには、だじゃれを駆使しながら意外なデータやエピソードを紹介する連載「ヨネちゃんのおシャレ野球学」を執筆。
春夏甲子園ではコラム「ヨネタニーズ・ファイル」を担当した。