【金子真仁】中村剛也を中心としたド直球な群像…担当替えは「なんか寂しい」/後編

埼玉西武ライオンズ担当としての1年間を終えました。あまり表に見えないところで何があり、何を思わされていたか。前後編で振り返った上で心機一転、新年に向かいます。

プロ野球

「警戒ですよ」

穏やかに生きていたいと思っているし、身の回りからそう言われることはそこそこ多い。でも堪忍袋の緒は一応ある。

キレた。

6月だか7月のある試合後、ある人の帰りを待っていた。姿が見えた。追う。1対1になれたなら、大事な質問をするために。

2、3人の記者がついてきた。質問をごまかす。相手に「お疲れさまでした」と別れを告げる。記者のうちの1人が、何も言わずにUターンしていった。

質問もないのになぜついてくる? なぜ何も言わず立ち去る? キレた。

「警戒ですよ」

その人物はそう言った。あきれた。記者の仕事って何だろう。他社の邪魔をするのが、聞き耳で情報を得るのが仕事なのか。怒りを出す必要まであったか分からないし、いま思うと恥ずかしい部分もあるけれど、あの時はキレてしまった。

同時期、ある質問者に首脳陣が激高するシーンにも出くわした。山川の件もある。あらゆるところでマグマがたまり出した。

そういう状況になって、ベテラン中村の存在をより強く感じるようになった…と今になって思える。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。