【初公開】松川、藤原、東條…ロッテ面々の素顔/担当・金子真仁記者の3年間〈後編〉

ロッテ担当記者としての3年間を終えた金子真仁記者。期間中の優勝はなりませんでしたが、歓喜の時に備え、いくつものエピソードを蓄えていました。日々のちょっとした話も含め、世に出し切れなかった舞台裏を時系列で全3回で公開します。最終回の後編。

プロ野球

21年オフ、育成選手として4年間鍛え抜いた森遼大朗投手が、念願の支配下登録を受けた。コントロールが生命線で、落ち着いた青年。昔話を聞いた。「小さい頃は父に怒られてばっかりでした。門限も決められていて。家の隣が空き地だったんで、そこでずっと遊んでたんですけど、真っ暗になっても帰らずにいたら、玄関のカギ閉められてたこともあります」。宮崎・都城。夕焼けの霧島連山が映える街だ。

21年冬、和歌山市内でドラフト1位の市和歌山・松川虎生捕手の入団会見が行われた。壇上に1人で座る当時17歳の松川は、代表質問をする地元局アナウンサーとの質疑が1つ終わるたび、マイクのスイッチを切った。数秒後、数十秒後にはまたマイクを使うのに、毎回OFFにした。雑音が入らないよう気づかったのか、無駄遣いが嫌なのか。後日、松川に「モノは大切にする方?」と尋ねた。

「それはありますね。小さい頃からグローブとか道具を大切にしてます。親に買ってもらっているので。ありがたさを感じてやってましたし、それはプロになっても変わるものではないと思うので」

プロ1年目の同じミットで完走した。「途中で代える勇気がなかったですね」とも苦笑いで打ち明けた。

本文残り81% (2430文字/3013文字)

1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。