【是沢、実家に帰る。】訪問した金子真仁記者を最後に美人家族が受け入れてくれた/後編

誰にでも「物語」があります。

プロ野球選手にも。スターにも、背番号3桁の選手にも。

西武の是沢涼輔捕手(24)はいよいよ勝負の育成契約3年目へ。年末年始も自主トレに励みます。会場は実家の庭。パートナーはなんと…。

家族の思いが身に染みる「是沢、実家に帰る。」を前後編でお届けします。

プロ野球

◆是沢涼輔(これさわ・りょうすけ)2000年(平12)4月19日生まれ、三重県出身。暁中時代は三重川越ヤングでプレー。健大高崎では2年春の甲子園出場も、自身はメンバーに入れず。法大では4年春にリーグ戦デビュー。通算4試合で3打数0安打。法大では3番手捕手だったが、肩の強さ、野球に対する姿勢がスカウトの目にとまった。22年育成ドラフト4位で西武入団。昨季はイースタン・リーグ31試合、24安打、打率2割7分、0本塁打、10打点。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸400万円。

実家の庭でおばあちゃんが練習パートナー

Lポーズを決める西武是沢と祖母逸子さん、母由美さん

Lポーズを決める西武是沢と祖母逸子さん、母由美さん

是沢の祖母逸子さんは「遠いところ、ようこそお越しいただきました」と温かく迎えてくださり、その傍らにはすでに運動用のロングコートがある。

「おばあちゃん、やる気満々ですから」と母由美さんも笑う。

「実家に行くとおばあちゃんが庭でティーバッティングの手伝いをしてくれるんです。厳しいですよ」

是沢に初めてその話を聞いた時、驚いた。

プロ野球選手のオフの自主トレはいろいろだ。ただ近年は球団の垣根を越えての合同自主トレがトレンドでもある。沖縄へ、時には海外へ。

その中でプロ野球選手が「実家の庭でおばあちゃんが練習パートナー」というのは目新しいどころか、少なくとも私には初耳。

58歳差コンビとともに外に出る。

是沢は本当に「持っている」人で、さぁ練習開始というところで粉雪というか雪虫が舞いだした。それほど寒い。

年末年始にはいつもやっていることだし、なんなら「おばあちゃん、楽しみに待っていたんです」(母由美さん)というくらいだから、打ち合わせなど全く必要ない。

立派な松の木にネットを張った、なんとも雅な自主トレ場。是沢は当たり前のように“打席”に立ち、当たり前のように逸子さんがティースタンドにボールを置く。

孫、真顔で「ふっ!!」と振り抜く。いつも所沢にあるのと同じ光景だ。

あうんの呼吸。

逸子さんはテンポ良く、次の球をティー上に補充する。孫の尻をたたくかのように、時にはスイングの1秒後にもう次を置いている。

人間、ひとりじゃない。長い人生、ひとりと感じる時もあるけれど、ずっとひとりなわけじゃない。

パートナーは尊い。金八先生じゃないけれど、人は人に囲まれて「人間」になる。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。