【私と長嶋さん〈17〉】存在そのものが宝もの 専属スタイリストとのランデブー/下

2004年3月。長嶋茂雄さんが病に倒れ、大きなショックを受けた「専属スタイリスト」の矢野悦子さん(81)は、還暦を迎えた年齢で大学入学を決意しました。長嶋さんとのランデブーの記憶、最終回です。

プロ野球

◆矢野悦子(やの・えつこ)1944年(昭19)4月1日生まれ、愛知県出身。広告制作会社にコピーライターとして入社。以後スタイリストとして数々のCM、テレビ番組、映画、舞台の衣装を手がける。TBSの情報番組「ジャスト」で「亭主改造計画」、「2時っチャオ!」で「街角ファッションチェック」に出演し、茶の間の人気を博す。

2004年掲出の東京ドーム広告看板の元素材(提供:セコム)

2004年掲出の東京ドーム広告看板の元素材(提供:セコム)

「心にぽっかり穴が開く」

長嶋さんが倒れた。一報を耳にした時、矢野さんは「やっぱり」と体中の力が抜けた。

「2003年10月の北京ロケの時はとてもお元気でしたが、それから2カ月後の12月の上海ロケでは体調がお悪いのかなって気がかりだったんです。それでも年明けから日本代表の監督として東京とキャンプ地を何度も往復されてて、お元気そうで安心してましたからショックが大きすぎて。『心にぽっかり穴があく』っていうのはこういう状況なんだと知りました」

その年の4月に還暦を迎える矢野さんは還暦と本の記念パーティーをすることになっていて、ホテルの予約も案内状も全て万端、整っていた。

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。