【ヤンキース・オーナー 南壮一郎氏】日本人選手の品格ある活躍が全ての始まり/前編
村上雅則氏や野茂英雄氏が道を開き、今やドジャース大谷翔平ら多くの日本人選手が活躍するMLB。しかし世界最高峰のそのリーグに、日本人の球団オーナーが誕生するとは誰も想像していなかったでしょう。
転職サービス「ビズリーチ」を創業したビジョナル株式会社の南壮一郎社長は2023年4月、長い歴史と伝統を誇りワールドシリーズ制覇を27度達成したヤンキースで、個人としては日本人初のMLB球団の少数オーナーとなりました。球団オーナーは10歳からの夢だったという南氏。1人の日本人がどうすればそんな壮大な夢を実現できたのか、詳しく語ってくれました。
前後編でお届けします。後編は15日配信予定。【取材・構成=斎藤直樹、水次祥子】
MLB
幼少期カナダ在住 09年ビズリーチ創業
◆南壮一郎(みなみ・そういちろう)1976年6月15日生まれ。静岡県出身。ヤマハ発動機社員だった父の転勤で6~13歳までカナダ在住。浜松北高―米タフツ大。モルガン・スタンレー証券から香港・PCCWグループなどをへて、04年9月に楽天入り。球団創設に関わる。07年に退職し、09年ビズリーチを創業。20年にビジョナルグループ設立。著書は『絶対ブレない「軸」の作り方』(ダイヤモンド社)など複数。
◆MLB球団のオーナーほとんどの球団は個人、または投資家グループで所有している。ブルージェイズは大手通信会社、ナショナルズは不動産会社がオーナー。ブレーブスは唯一、運営する持ち株会社の株式が公開されている。フォーブス誌の試算によるヤンキースの資産価値は82億ドル(約1兆2300億円)。
株購入いきさつ「名門ゴルフクラブのような…」
そもそも、上場されているわけでもないヤンキースの株をどのようないきさつで購入できることになったのか。米野球界の仕組みを深く知らない者にとって、それは興味深いものだった。
球団の株が売り出される等の情報は、代理人事務所などを営む会社の投資部門が扱っているという。
「大谷翔平さんの代理人を務めるCAAという会社に金融・投資銀行部門があって、そこの社長のボブ・スタンレーさんにお会いした時に、十数年ぶりにヤンキースのオーナーの1人が裏で一部を売却したいという話があるんだけど興味あるかと言われたのが最初です。当然、興味がある。実は他のチームについても何球団か話が来たのですが、最初にその話がきました」
しかし手を挙げたからといって、すぐに決まるわけではない。そこから長いプロセスを経て、多くの希望者の中から選ばれなければならなかった。
「たぶん何百人と手を挙げてくる。オークションではないので、一番高く払いたい人が買えるわけではなく、ある意味、名門ゴルフクラブのような、会員制クラブみたいなものだと思います。どういう人間なのか、どういうことをやっているのか、資産形成はどう行われたのか。(自分の)過去の歴史を全部、細かく公開していくわけです。その後に球団関係者との面接みたいなものがあり、MLBのチェックもあり、いろんなプロセスがある中で(オーナーの一員に入れてもらうための)いくつか要素があるんですよね」
リスペクト築き育んだ松井、マー、イチロー、黒田ら
名門ヤンキースのオーナーの一員になるための条件とは、どんなものなのか。その要素について、南氏はいくつかのポイントを挙げた。
「一番大きな要素は、これはとても大事なことなので強調しますけれども、日本は過去に50人以上の日本人メジャーリーガーが海を渡り、グラウンドで活躍したのみならず、品格、品性(を持ち)、各球団関係者とのリスペクトを築き、育んできた。日本人メジャーリーガーの品格ある活躍が、全ての始まりです。それがなければ、僕なんて候補にすら挙がらないわけですよね。特にヤンキースは松井秀喜さん、田中将大さん、イチローさんはちょっと長くはなかったですけど、黒田博樹さんとか、長い日本人選手の歴史がある。ヤンキース球団の中でも、日本人っていうのはこういうような存在であるというものが、きっちり育まれていた」
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1973年、横浜市生まれ。金沢高ー早大。97年日刊スポーツ入社。整理部、関連会社出向、グラフィックス班を経て、静岡支局で常葉学園菊川の甲子園優勝を見届けた。
08年から野球部。記録担当(セイバーメトリクス)、アマチュア担当、遊軍、NPB担当、デスク、DeNA担当を経て、現在はMLB担当。24年はドジャースの韓国開幕戦と地区優勝を現地で見た。訪問したメジャー球場は9。全球場制覇とファンタジーキャンプ参加が夢。著書に電子書籍「メモリー球譜」。
趣味はファンタジーベースボールと城めぐり、株式投資。最近はジムでの筋力トレーニングと少年野球のコーチに、はまっている。
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