坂本花織が教えてくれた…世界女王が戦っている過酷な領域と連戦を続ける理由

世界女王として迎えたシーズンで、坂本花織(22=シスメックス)は連戦を続けている。なぜか。その疑問を解く鍵は、期せずして国民体育大会の取材エリアで訪れた。教えてくれたのはわずかな動きの違いが生み出す呼吸の違いと、その影響。フィギュアスケートのすごさをあらためて感じた瞬間だった。

フィギュア

〈八戸国体 成年女子シングル:優勝 都道府県対抗:優勝〉

八戸国体フリーの演技

八戸国体フリーの演技

国体成年女子シングル上位成績


順位選手SPフリー合計
1坂本花織81.50157.13238.63
2渡辺倫果60.14148.49208.63
3三原舞依77.10130.01207.11
4山下真瑚70.01123.18193.19
5住吉りをん68.13122.52190.65
6江川マリア58.67123.25181.92
7三宅咲綺62.96117.19180.15
8横井ゆは菜55.12122.77177.89

「大きく動かしたら、後半まで楽に息吸えるな、とか」

あっさりと説明したその言葉に、坂本花織が戦う領域のすごさが詰まった。

「ここでしっかり大きく動かしたら、後半まで楽に息吸えたりできるなとか。そういうのをちょっとずつつかめてきているので」

ショートプログラム後の取材エリア、フリーへの展望を聞かれた時だった。

最大4分10秒のプログラムは演技という意味だけでなく、肉体的にもつながっている? A地点がずっと先のB地点に作用している? 聞きながら、そんなイメージが浮かんだ。

八戸国体でフリーの演技をする坂本

八戸国体でフリーの演技をする坂本

フリーの過酷さについては、2011年に初めて担当になった直後に聞いた事実がある。

安藤美姫からだった。

「みんな、特にジュニアの子たちはバックヤードでは立ってられないくらいしんどくなってます。終わった後も表情を作ってあいさつしているから理解されにくいのですが、本当にしんどいんです」

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。