【渡辺倫果の言葉】号泣する中庭先生にかけた一言 「スピード出世」シーズンに幕 

渡辺倫果(20=TOKIOインカラミ/法政大)一気に飛躍したシーズンの最後を10位で終えました。昨年9月のシニア初の国際大会出場初優勝から始まった、「スピード出世」の日々。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決められず、演技には悔しさも残りながら、想像できなかった景色を見続けた今季を、五輪出場という夢の実現への大きな糧とします。「渡辺倫果の言葉<世界選手権編>」です。

フィギュア

〈世界選手権〉SPからフリー、一夜明け会見まで心境たっぷり

渡辺倫果の世界選手権ギャラリー

【女子シングル上位成績】


順位名前SPフリー合計
優勝坂本花織79.24145.37224.61
2イ・ヘイン73.62147.32220.94
3ルナ・ヘンドリックス71.94138.48210.42
4イザボー・レビト73.03134.62207.65
5三原舞依73.46132.24205.70
6キム・チェヨン64.06139.45203.51
7ニコル・ショット67.29130.47197.76
8キミー・レポンド62.75131.34194.09
9ニーナ・ペトロキナ68.00125.49193.49
10渡辺倫果60.90131.91192.81
3月22日女子SPで演技する渡辺

3月22日女子SPで演技する渡辺

「良くも悪くも練習がそのまま出た。切り替えて」/SPより

――演技を振り返って

渡辺 現地に入ってきてからショートの調子はそこまでいいものではなかった。良くも悪くも練習がそのまま出たなという感じがあります。ただ、拍手や声援というのは有り難かったですし、切り替えてフリー頑張っていきたいと思います。

――この舞台で感じたことは

渡辺 スピード出世といいますか、1年半たってないですかね、(前に)ここにいたのは(同会場開催の21年全日本選手権)。その時にはこんな景色見れると思ってなかったので、良い意味で思い描いたものとは違うんですけど、でも、この場にいられるのはありがたいことなので。

――ジャンプ、リカバリーもしました。

渡辺 ジャンプはいつも決まるものではない。得点源としては大きいですが、ただ、フィギュアスケート自体、芸術と言いますか、作品なので、それを壊さず、まとめ上げることも大事じゃないかなとおもってますので、あきらめないように。悔しい思いはありましたけど。現地にきてからフリーの調子自体は悪くないので、良いイメージをもってできれば。

――練習からルッツを確認してましたが、感触は良くなかったですか。

渡辺 ショートの軌道上でやるとルッツがはまらないのが大きかった。現地に来ると、舞い上がって跳ぶ場所がなくなってしまうというのはあることなので。あとは焦りというのは少なからずありました。あとはもうフリーだけなので、切り替えて、できるところまでやれば良いかなと思ってます。

――コールされてから演技に入るまでに目を閉じて、心を落ち着かせているようだった。心境は。

渡辺 自国開催で歓声が温かかったので、この場に来られた喜びが大きかった。かみしめて演技を始めたという感じです。

3月22日女子SPで演技する渡辺

3月22日女子SPで演技する渡辺

「ぺーぺーだったのが、いま部長。1年半でなかなかない」

――初出場の世界選手権はショート終えて、どんなものでしたか。

渡辺 プログラムといいますか、目標にしていたものには届かなかったので、その面では悔しい部分はあるんですけど、ジャンプがはまらなくてもやるべき事はできたんじゃないかな。その点は良かったなと思っているので、ある意味複雑な気持ちがあるので、明後日は笑顔で終えられるように頑張っていければいいんじゃないかなと思います。

――坂本選手、三原選手とは世界選手権の雰囲気などについて話したりは。

渡辺 2人とはあまりスケートの話をしないので(笑い)。たわいのないと言いますか、良くも悪くもくだらない話しかしませんし、「ここおいしいよ」とか。ただ、2人には「頑張って」と背中を押してもらったので、あとは先輩の背中を追いかけられるように頑張れば良いです。

――いまの涙はどんな涙か。

渡辺 目標にしていたことができなかった悔しさですね。

――見返してやるという気持ちは出てきましたか。

渡辺 うーん、少なからずありますけど、自分のやるべきことをやればおのずと成績は出てくる。チャレンジャーなので、明後日は落ち着いて獲物を見つめる虎のようにライオンのように、落ち着いて見定めてできればいいんじゃないかなと思います。

――今季はシーズン前半と後半で心持ちの変化は。

渡辺 スピード出世が過ぎるんですよね。いままでは新人、ぺーぺーだったのが、いま部長あたりまできているので、1年半で部長までの出世はなかなかないと思う。いつかは見てみたいけど、良い意味でも早く、この景色が見れているのかなと思っているので、速いに越したことはないので、経験以上に学べることはなかなかないので、早いうちに経験して、自分の夢を果たせるようにすれば良いかなと思います。

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。