【みんなでつくる氷現者/村元哉中〈3〉】魅力的な振付師の世界「ダンスもいつかは…」

日刊スポーツ・プレミアムでは「氷現者」と題し、フィギュアスケートに関わる人物のルーツや思いに迫っています。

記念すべき第1回の配信は2022年10月10日、午前10時10分。日刊スポーツ・プレミアムが誕生した、その日から毎週月曜日の連載が始まりました。

あれから1015日。

2025年7月21日からの「氷現者」は第50弾特別版として、記念すべき第1弾に登場した村元哉中さん(32)の、その後をたどっています。

皆さんからいただいた質問を手に取材し、当初は3回連載を想定していました。

しかし、丁寧に答えてくださった村元さんの言葉をありのままに届けようと考えた結果、急きょ4回の連載とさせていただきます。

3回目の今回は、振付師として見えてきた世界に焦点を当てます。(敬称略)

フィギュア

23年3月25日、FDの演技を終え声援に応える

23年3月25日、FDの演技を終え声援に応える

【みんなでつくる】質問#12

哉中ちゃん&かなだいのプログラムを作る時に、ご自分で振り付けるのと他の振付師さんに依頼するのはどう分けているのですか?

【みんなでつくる】質問#13

振付師としてもご活躍ですが、選手からはどの様なリクエストがありますか? 「イメージを変えたい」「大人っぽい振付」「陸ダンスを取り入れた振り」等の要望があるのかな? と、予想するのですが

米国拠点の競技生活を終え、プロスケーターとしての活動とともに取り組む柱がある。

それが、かねて熱望していた振付師としての仕事だ。

時には自らが演じるプログラムを、自分で手がける。

「〝かなだい〟のこの間の『Symmetry』は、本当に時間がなくて『じゃあ、もう2人で作っちゃおうか』となりました。結果的にすごくいいプログラムができたので『意外といける !? 』となったのですが、ソロのプログラムに関しては、自分で振り付けるのが向いていないと分かりました(笑い)。『自分のソロは自分で振り付けしない』というのは決めました(笑い)」

ソロの振り付けをやってみて、分かったことがある。

「自分が何をしているか、見えないのが大きいです。毎回動画を撮ることになって、動きが見えないので難しいです。自分の引き出しを、自分でやるのではなくて、誰かに振り付けでやってもらう。それは見えるので、とても楽しい作業です。〝かなだい〟の場合はお互いにやっているので、大ちゃんが見てくれます。お互いで見て、動画を撮り合って、2人で作り上げていくのが楽しかったです。ただ、自分のソロは、そうはいかなかったです(笑い)」

村元哉中さん(左)は大島光翔の演目の振り付け時に笑顔を見せる(本人提供)

村元哉中さん(左)は大島光翔の演目の振り付け時に笑顔を見せる(本人提供)

振り付けをする際に、必ずこだわることがある。

「大事にしているのは音取りです。できる限り、流れている音を取ります。たぶんどの振付師の方もやっていると思いますが、その選手に合った動きは意識します。例えばすごく手足が長いスケーターだったら、手で印象的な動きをつけたり、パワーやスピードで勝負しているスケーターには、スピードが出るプログラム。個々に合った良さを出すようにしています」

荒川静香からの依頼で振付師として最初の1歩を踏み出し、ジュニアの選手、さらには世界女王として2024年の「スターズ・オン・アイス」に臨む坂本花織の「Poison」を担当した。

「かおちゃんは『とにかく、めっちゃ滑る!』と思いました。間近で生で見たときに『なんだ、このスピードは。よく滑る』と感じました。曲もかおちゃんに合っていて『もっと表情や感情が出るんじゃないか』『新しい一面を引き出せたら』と思いました」

エキシビションやアイスショーには、競技で定められたルールがないため、表現の幅が広がる。その魅力を感じる一方、かつて身を置いた競技の世界に触れることで刺激も受けている。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。