【箱根駅伝2023あえぐ名門〈6〉】号砲あと1週間!レジェンドOB竹澤健介の伝言

箱根駅伝の本番まであと1週間。夏の合宿から花田勝彦監督が率いる新体制での日々に密着を続けてきた。部員数の少なさを補う、自主性を支えにした「推薦組」と「一般組」の切磋琢磨(せっさたくま)こそ、強さの源と感じ、各選手の姿を描いた半年。本番を前に、あらためて「早稲田らしさ」について考えるため、歴代の名選手の1人、竹澤健介(36)の元を訪れた。(敬称略)

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早稲田愛を教えてくれたOBの竹澤さん

早稲田愛を教えてくれたOBの竹澤さん

「早稲田らしさ」とは 実体験交え語る

都内のホテルのラウンジは昼下がり。竹澤は何度もうなずいていた。

こちらが伝えたのは、6月に指揮官となった花田の言葉。

「指導者がいないからできないではなく、きていないところでもしっかりやらないといけない」

それは4月中旬、監督になる前にOBとして練習を見学した際の、選手への助言だった。

竹澤はその伝達を、実体験に基づく大きな納得とともに受け取っていた。

「早稲田の場合は本当にそうじゃないですかね。監督いるからやる、いないからやらないというのはあまり関係ない気がしますね」

1年365日、監督がフルで練習を見られるわけではない。それは竹澤が入学した2005年当時も一緒だった。

前年に就任した渡辺康幸監督も、勧誘などで忙しく常に練習のグラウンドにいられるわけではなかった。

1年時にはイメージとのギャップに戸惑った。

「朝練習をやってもそのまま帰ってしまう先輩がいたり。『授業だ』って帰るんですけど、寮に戻ると部屋の明かりがついてて、外からゲームの画面が見える、みたいな。先輩なので言えないですけど、それが許される雰囲気だったんです」

箱根出場を重ねる伝統校。格好いいなと小2で憧れたえんじ色のユニホームをまとうランナーたち。尋常じゃない、高校生とはレベルが違う努力をしているのだろうという想定、覚悟は、さっそく打ちのめされた。

「でも、それを2つ上の先輩がガラッと変えてくれたんです」

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。