【再建ワセダの箱根を追う〈6〉】全日本シード落ち後、見えてきた光明

早稲田大学競走部。東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)で13回の総合優勝を誇る名門は、OBの名ランナー花田勝彦(52)を監督に迎え、学生駅伝での頂点に挑んでいる。2011年の「大学駅伝3冠」から長く離れる箱根駅伝での優勝への改革とは―。2季目となる本年度は「-Rebuild-再建ワセダを追う」と題し、昨年度総合6位からのチームが伝統を更新していく過程を追う。第6回は11月の全日本大学駅伝で味わったシード落ち(10位)の失意をチームはどう受け止め、箱根へ向かおうとしているかを描く。

陸上

 
 

全日本大学駅伝の成績上位


1駒澤大5時間09分00秒
2青山学院大+3分34秒
3国学院大+3分39秒
4中央大+3分49秒
5城西大+8分23秒
6創価大+9分21秒
7大東文化大+10分21秒
8東京国際大+11分05秒
9東海大+12分54秒
10早稲田大+13分36秒
全日本大学駅伝 一斉にスタートする各校の選手たち

全日本大学駅伝 一斉にスタートする各校の選手たち

全日本で痛感した負の連鎖

失望から6日間が過ぎていた。

11月11日、埼玉県・所沢キャンパスの教室内には、沈む空気を少しでも動かそうとする危機感と本音が入り交じっていった。

「全体ミーティング」

全部員、スタッフが集まっていた。

一番最初に皆の前に立ち、話し始めたのは主将の菖蒲敦司だった。出雲、全日本で最上級生として引っ張る結果を残せなかった悔恨。

「もっと練習でやれることがあった」

秋口に海外遠征があり、調整が難しかった選手もいた。ただ、疲労を言い訳にはできない。朝の練習の開始に遅れる選手がいたこともあった。甘さを痛感し、省みて、真摯に後輩たちに伝えていった。

「残り2ヶ月、行動で見せていけるような4年生に」

そう誓いを立てた。

全体ミーティングが決まると、一方通行の場にはしたくないという花田の希望で、各学年ごとに事前に振り返りの場を設け、駅伝シーズンの苦境を生んだ原因、箱根までに変えていく課題を考える機会が設けられた。2022年6月に花田体制が発足後、各学年が発表の場を持つのは初めてだった。

3年、2年、1年と各学年の代表者が、それぞれの覚悟を示していく。

最後に立ったのは花田だった。

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。