【150秒の青春】日本一を守り続けた箕面自由学園チア…別れの春、マスクを取った笑顔

旅立ちの春。全国では2005年度生まれのおよそ106万人が高校から巣立つ季節を迎えた。チアリーディングで強豪の箕面自由学園でも3月2日に卒部式が開かれた。コロナ禍で緊急事態宣言が発令された時期に入学。消えた日常、マスクで隠された笑顔-。それでも夢を追い続けた3年間だった。(敬称略)

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3月は千葉明徳高校HOPPERS、梅花高校RAIDERSハワイ遠征リポート、目白研心高校POLARISも掲載予定!

私は笑えていましたか

箕面自由学園高校・チアリーダー部、アトランタ遠征報告会と2023年度卒部式(撮影・上田博志)

箕面自由学園高校・チアリーダー部、アトランタ遠征報告会と2023年度卒部式(撮影・上田博志)

マスクをしたままの笑顔はぎこちなかった。

3年前の春、どんな夢を抱いて入学しただろう。

日本一になる姿-。

そこで活躍する自分自身を重ねていたのかも知れない。

未知のウイルスはまだ猛威を振るっていた。

オンラインでつながった練習やミーティング。

失われた大会。

ようやくみんなが集まっても、マスクは外せない。

どうやって笑顔をつくるんだっけ?

この人は本当に笑っているのだろうか。

不安の中で過ごした時間はあまりにも長かった。

新型コロナウイルスの死者が1万人を超えた春。

真新しい制服を着て高校生になったのは、東京と大阪、京都や兵庫にも3度目の緊急事態宣言が発令された時期だった。

プロ野球も、Jリーグもスタジアムに観客はいない。

あの年の夏、1年遅れで開催された東京五輪も無観客だった。

距離を置いて行ったミーティング(写真上)練習は常にマスクをしていた

距離を置いて行ったミーティング(写真上)練習は常にマスクをしていた

覚えていますか?

音が消えた世界を-。

人の表情がマスクで隠された世界を-。

みんなは、そんな時に高校生になったのです。

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。