【150秒にかける青春】箕面自由学園が2連覇!Div1,2,中学のJr.BEARSも優勝

チアリーディングの全日本高等学校選手権大会(1月27~28日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)で、箕面自由学園「GOLDEN BEARS」が2連覇を達成した。ディビジョン1と2、全日本中学校選手権では中学の「Jr.BEARS」も優勝する完全制覇だった。全カテゴリーでノーミスの演技。マットに立っていない選手も含めたチームの総合力を示した(敬称略)

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〈全日本高等学校選手権大会 連載2〉

大会前に見た光景

拝啓。

10年後の君へ。

10年前、高校生だった私は輝いていましたか?

手をつなぎ、仲間と本番へ向かう。マットに立った選手も、メンバーに入らなかった選手も。3年間、全力で1つの目標を追い続けてきたからこそ、日本一にたどり着くことができた

手をつなぎ、仲間と本番へ向かう。マットに立った選手も、メンバーに入らなかった選手も。3年間、全力で1つの目標を追い続けてきたからこそ、日本一にたどり着くことができた

夏のジャパンカップ、昨年11月の世界選手権大会、今回の全日本高等学校選手権大会。

大きな大会の前、何度も見た光景がある。

日本一を夢見て門をたたいても、マットに立つことができるのは選ばれた16人。

それでも腐らずにBチームやCチームで、あるいはユニホームを着ることなく仲間を支える部員がいる。

大会直前、黙々とタンブリングの練習を繰り返していた生徒がいた。

3年生の彼女は高校最後の大会、メンバーから外れていた。

そっと声をかける。

たったひと言でも、あなたの存在を気にしている人がいることを伝えたかったからである。

普段は厳しいコーチたちも、そんな選手たちの姿を遠くから見ていた。

「いつチャンスが来るか分からないですから。

そういう時のために、準備をしておいて欲しい」

仲間のために―。壮行会ではメンバーに入らなかった選手たちが、みんなの前で演技をする。それは、大会へ向かう選手たちへの勇気になる

仲間のために―。壮行会ではメンバーに入らなかった選手たちが、みんなの前で演技をする。それは、大会へ向かう選手たちへの勇気になる

大会が終わってから数日が過ぎた。

ホールを訪ねると、まだ人気の少ない静かな空間で、練習の準備をしている子がいた。

マットに立てなかった部員だった。

そして、黙々と練習を始める。

その姿は、とても印象的だった。

優勝した16人は輝いている。

そして、メンバーに入ることなく仲間を支えることに徹してきた選手たちもまた、同じように輝いていた。

ディビジョン1、2ともに制覇した背景には、誰ひとり腐ることなく、チームのために力を尽くしてきた総合力があったから。

マットに立てなかった選手は今もなお、心のどこかにモヤモヤを抱えているかも知れない。

ただ、10年後の君は教えてくれる。

「夢を必死に追いかけてきた日々は、かけがえのない時間だった」と。

表彰式後、写真に納まる自由演技ディビジョン1と2で優勝した箕面自由学園の選手たち(撮影・江口和貴)

表彰式後、写真に納まる自由演技ディビジョン1と2で優勝した箕面自由学園の選手たち(撮影・江口和貴)

【全日本高校選手権大会】

〈自由演技競技ディビジョン1決勝 上位成績〉

箕面自由学園(272・0)

2 梅花高(237・0)

3 目白研心(228・0)

4 如水館224・5)

5 東京高(207・5)

6位千葉明徳、7位愛工大名電、8位大産大付、9位横浜女学院高、10位広尾学園

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。