【150秒の青春】東京に輝く北極星~目白研心チアの30周年~亡き恩師に捧ぐ演技

チアリーディングの強豪・目白研心「POLARIS」が輝きを放った。3月22日に「なかのZEROホール」で30周年記念公演が盛大に開かれた。今は亡き小山武男名誉監督の遺志を継いだ教え子たちが、美しく躍動した姿を披露。30年を越える歴史、POLARISの原点を描く。写真特集を含めた3回連載の第1回。

その他スポーツ

目白研心POLARIS連載〈1〉

【150秒にかける青春】一覧はこちらから

4月2日掲載=目白研心連載〈2〉写真特集~幻想的な世界

4月5日掲載=目白研心連載〈3〉未来へ歩むPOLARIS

厳しさと愛
卒業生の涙

2024年3月22日、目白研心「POLARIS」30周年記念公演(撮影・鈴木みどり)

2024年3月22日、目白研心「POLARIS」30周年記念公演(撮影・鈴木みどり)

照明が落ち、真っ暗なホールに手拍子が響いていた。

「let's go POLARIS!」

「let's go POLARIS!」

チーム名のポラリスは北極星を意味する。

スポットライトを浴びて舞台に立った選手たちは、夜空に輝く星のようだった。

大きなスクリーンに歴代メンバーの写真が映し出される。

「あなたが高校生だったとき…

目白学園の体育館では、かけがえのない仲間と、

温かい笑顔の小山先生と一緒に、大好きなチアリーディングに没頭していた日々でした」

映像でそんなメッセージが流れる。

「うまく笑えなかったときも、

悔しくて本気の涙を流したことも、

辛くて苦しくて逃げだしちゃいそうになった日もありました」

映し出された言葉。

流れる映像を見た瞬間、脳裏に浮かんだのはつい30分ほど前の出来事だった。

ホールの片隅で顧問の松原里紗と現役の高校生部員7人、OGが3人。合わせて11人から話を聞いた。

そのうちの1人が突然、泣き出した。

目ににじんだ涙は大きな滴となり、頬を伝って落ちると、止まらなくなった。

この春に高校を卒業する大澤愛実だった。

厳しさの中にある愛情。それが原点だった。

東京にはこんなにも愛があふれ、こんなにも強いチームがあった。

この物語はPOLARISの歴史を描いている。

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。