【スクール☆ウォーズのそれから】紅黒復活へ~カギ握る京都工学院の「平尾2世」

高校ラグビーの近畿大会で、1年生スタンドオフ(SO)が好勝負を繰り広げた。勝者が春の選抜大会の切符をつかむ準々決勝(2月18日、花園第2)は、伏見工業の流れをくむ京都工学院と京都成章のライバル対決だった。紅と黒のジャージーをまとった10番は“あの人”を思い出させるのである。(敬称略)

ラグビー

1990年1月、大阪府警との公式戦。神戸製鋼の平尾誠二は華麗なステップで突破を図る

1990年1月、大阪府警との公式戦。神戸製鋼の平尾誠二は華麗なステップで突破を図る

~1年生司令塔対決~
工学院杉山vs成章岡元

スポーツ新聞で育った物書きの、悪い癖なのかも知れない。

野球で二刀流をこなす選手がいたなら“大谷2世”。

サッカーで切れ味鋭いドリブルをする若手を見つければ“三笘2世”。

目の前で無回転のフリーキックを決めようものなら「本田2世がおりました!」と、社内で待つデスクに電話をかけた。

最近でこそめっきり減ったが、ひと昔前までは「○○2世」をよく見かけた。

そんな駆け出しだった頃の癖が、まだ残っているのだろうか。

少し頭を冷やしてみようと、試合を見てすぐに原稿を書くのは控えていた。

ただ、あれから1カ月ほどが過ぎた今でもふと思い出すのである。

あの1年生の司令塔は40数年前の“あの人”と、どこかで重なる。

「平尾2世」-

紛れもなく彼は、そう呼ばれるにふさわしい選手なのではないだろうか。

2024年2月18日、東大阪市花園ラグビー場。

メインスタジアムのすぐ横にある第2グラウンドに、大勢の人だかりができていた。

ゴールを狙う京都工学院のSO杉山(写真上)京都成章の10番を背負うのはSO岡元。1年生司令塔対決は見応えがあった(撮影・益子浩一)

ゴールを狙う京都工学院のSO杉山(写真上)京都成章の10番を背負うのはSO岡元。1年生司令塔対決は見応えがあった(撮影・益子浩一)

◆1年生司令塔対決◆工学院の杉山は熊本ラグビースクールで育ち、かつての強豪を復活させるために高校から京都へ。1年生からSOでレギュラーをつかんだ。成章の岡元は小学時代は京都西ラグビースクール、嵯峨中では京都オルカに所属。164センチと小柄ながら鋭いランを武器に1年から花園でも活躍した。

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。