【150秒の青春】千葉明徳の教え「奇跡は起こらない」~コロナ陽性、主将の大ケガ

2023年度の高校部門において千葉明徳高校チアリーディング部「HOPPERS」は“不運”の連続だった。上位候補に挙げられながら昨夏のジャパンカップは主力4人がコロナ陽性で4位、1月の全日本高校選手権は直前の主将のケガで6位。再起を目指すチームを追った。(敬称略)

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V候補のはずが
夏4位、冬6位

キャプテンの辰島有美を中心に輪になる千葉明徳の選手たち(撮影・益子浩一)

キャプテンの辰島有美を中心に輪になる千葉明徳の選手たち(撮影・益子浩一)

京成千原線の学園前駅から歩いてすぐ。緩やかな坂を上がると、右手に体育館がある。

道の途中、きれいに咲いているのは桃の花だろうか。

学校を訪ねたのは、春の気配を感じさせる暖かな日。

校舎で待機をしていると練習場まで案内してくれたのは、この4月で3年になるベースの表葵苺(あおい)だった。

「ジャパンカップも高校生大会も、悔しい思いをして終わってしまいました」

既に新チームでの練習が始まっていた。

たくさんの悔し涙を流しながら、この春に卒業したメンバー

たくさんの悔し涙を流しながら、この春に卒業したメンバー

このチームから巣立っていった卒業生はおそらく、心の奥にしこりのようなものを残していただろう。

表彰台に上がるだけの実力はあったはずだった。

なぜ力を出し切れなかったのか。

チームに何が起きていたのだろうか。

それを探るために、このチームを初めて訪ねた。

帝京大学や目白研心など、昨秋の世界選手権で銀メダルを獲得したナショナルチーム東日本の選手たちと

帝京大学や目白研心など、昨秋の世界選手権で銀メダルを獲得したナショナルチーム東日本の選手たちと

◆世界選手権に千葉明徳から選出された選手(学年は当時)◆ 

清水琴美(3年)、朝倉風菜(3年)、横瀬日向子(3年)、高木優菜(2年)、辰島有美(2年)、池田一織(2年)

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編集委員

益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。