【スクール☆ウォーズのそれから】京都工学院が花園に帰ってくる!興奮と感動を再び
学校統合により伏見工から校名変更となった京都工学院が、9大会ぶり21度目の花園切符をつかんだ。全国高校ラグビー大会の京都府予選決勝(11月10日)で10-8で京都成章に勝利。「スクール☆ウォーズのそれから」として、伝説のチームの軌跡を描きます。(敬称略)
ラグビー
- 【スクール☆ウォーズのそれから】京都工学院が描くドラマと同じ軌跡~全国制覇へ
- 【追悼】「ミスターラグビー」平尾誠二さんを偲ぶ~1人の写真家が追い続けた35年
- 【スクール☆ウォーズのそれから】「悔しいです!」と叫んだ主将が見た景色~晩夏の菅平
- 【スクール☆ウォーズのそれから】京都工学院が8年ぶりに宿敵撃破~新伝説の始まり
- 【スクール☆ウォーズのそれから】消えゆく校舎 京都工学院に受け継がれる精神
- 【スクール☆ウォーズのそれから/1】病に倒れた京都一のワル
- 【スクール☆ウォーズのそれから/2の上編】さらば「伏見工業の産声」元主将
- 【スクール☆ウォーズのそれから/2の下編】命がけで…そう思える人に出会えた
- 【スクール☆ウォーズのそれから/3】伝説の目撃者、マネジャーの回顧
- 【父と息子編:伏見工主将が語る、ドラマより熱い涙と絆の物語】
- 【父と息子編:魂を継ぐ遺伝子 オヤジに見せる桜のジャージー】
- 【京都一のワル編:定年迎えた今も追いかける恩師の背中】
- 【令和版スクール☆ウォーズ〈上〉0-133から目指す全国制覇】
- 【令和版スクール☆ウォーズ〈下〉「東福岡倒し花園に」】
あの大敗から約半世紀
再びたどり着いた花園
〈プロローグ〉
歓喜に沸く客席の片隅に、その人はいた。
目は赤く、肩を震わせながら泣いていた。
時折、おえつを漏らすように、目頭を押さえる。
そして、天を仰いだ。
きっと、喜んでくれているだろう。
「あれが伏見工業の産声やった」
0-112で大敗し「悔しいです!」「勝たせてください!」と叫んだ主将は、もういない。
ドラマのモデルとして描かれた今は亡き小畑道弘を、そして初めて全国制覇した時の中心選手だった平尾誠二のことを、思うのだろうか―。
ここまで長い道のりだった。
あの大敗からもうすぐ50年が過ぎようとしている。
目の前では令和の子たちが、勝利の余韻に浸っていた。
孫のような、たくましき選手たちである。
昭和から平成、令和へ―。
伏見工業の伝説は受け継がれていた。
「平尾2世」と呼ばれる司令塔がいる。
その背中でチームを引っ張ってきた、頼れるキャプテンがいる。
身を投げ捨てて、タックルを繰り返した選手たち。
そしてメンバーに入ることができなかった部員は、仲間のために必死に声を出し続けていた。
長年のライバル京都成章との決勝戦。それは華麗なラグビーではなかった。
転んでは起き上がり、汗にまみれ、地べたをはいつくばってつかんだ勝利だった。
電光掲示板に刻まれたスコアは10-8。
手に汗握るというような簡単な表現では伝えきれない、魂が激しくぶつかり合った試合だった。
校名が変わっても変わらないものがある。
紅と黒の伝統のジャージーを纏(まと)った男たちの矜持(きょうじ)。
低迷期があっても、再び約束の場所へ戻ろうとする不屈の闘志。
昔から「伏見工」を知る人たちはみな泣いていた。
どうやら、このチームを応援する人たちは泣き虫が多いようだ。
なぜなのか。
それは、心を揺さぶる、そんなチームだから。
伝説のチームをよみがえらせた、令和の選手たちを描く。
京都工学院メンバー(決勝・京都成章戦)
| 背番 | 選手名 | 学年 |
|---|---|---|
| 1 | 加藤瑠絃 | 2 |
| 2 | 川口士央 | 3 |
| 3 | 春名倖志郎 | 2 |
| 4 | 森田一毅 | 3 |
| 5 | 松見真一郎 | 3 |
| 6 | 田中琉翔 | 1 |
| 7 | 押谷吉都 | 3 |
| 8 | 志水颯真 | 2 |
| 9 | 片岡湊志 | 2 |
| 10 | 杉山祐太朗 | 2 |
| 11 | 石塚 行里 | 3 |
| 12 | 木村 航 | 3 |
| 13 | 林 宙 | 2 |
| 14 | 黒田耕史 | 3 |
| 15 | 広川陽翔 | 3 |
| 16 | 大下一彰 | 3 |
| 17 | 羽田匠之介 | 3 |
| 18 | 山田侑亮 | 3 |
| 19 | 広瀬陽太 | 3 |
| 20 | 岸田悠汰 | 3 |
| 21 | 村上颯斗 | 3 |
| 22 | 市田愛歩 | 2 |
| 23 | 岩本斗吾 | 2 |
| 24 | 海島泰雅 | 3 |
| 25 | 岡垣 尊 | 2 |
本文残り75% (4348文字/5827文字)

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。