住之江SGオールスターは篠崎仁志の優勝で幕を閉じた。売り上げは目標を大幅に上回る150億円超。新型コロナウイルスの影響で無観客開催の中、ボートレースの底力を見せることができた。そして、兄弟2組目のSG覇者が誕生するという話題性もあった。篠崎仁志は「兄(元志)に感謝したい。そして、この売り上げがコロナ終息に向けて活用されていることを誇りに思う」と話した。

兄・元志にSG初制覇を祝福される篠崎仁志(左)
兄・元志にSG初制覇を祝福される篠崎仁志(左)

これまでさまざまな競技で兄弟選手を取材した。どの選手も「兄や弟はライバル」という意識を持っていた。しかし、篠崎仁志にはそれがまったくない。優勝会見で「兄に対してライバル心はあるのか?」と聞いてみた。「確かに背中を追ってます。でも、負けたくないというのはない。ライバルではなく包んでくれるというか、そういう存在です」と、はっきり言った。

イケメンの強豪兄弟レーサーと注目を浴びる中で「兄はそういうのをすべて背負ってくれる。だから重圧を感じずレースに集中できる」と感謝した。優勝会見では少し“よそいき”で「兄」と話したが、ピット取材では記者に対しても、元志のことを「お兄ちゃん」と言うことが多い。

昨年9月の大村SGメモリアルでフライングを犯し大舞台に出場できない苦悩を味わったが、兄の優しさが心の支えとなった。「何げない心遣いがうれしかった」と感謝を忘れない。兄弟の絆を感じることができ、胸が熱くなったオールスターだった。