40歳にして初めてS級の舞台に立った選手がいる。鰐淵圭佑(40=群馬)は、先日の奈良で初めてG3の舞台に立った。

05年7月デビューで目立った戦績はないまま、惰性のような競輪人生を送っていた。転機になったのは20年前期にチャレンジに降格したことだった。「19年の前期(1~6月)に2回失格して下がったんです。普通に決勝に勝ち上がれる力はあったけれど、そこでまた失格した」。

この結果、21年前期に再びチャレンジ降格。「この時に車券を買ってくれるファンに失礼にならないような走りをしないといけないという意識を持って、レインボーカップファイナル出場(5着)を目標にしました。今思えば、それまでは競輪に真剣に取り組んでいなかった」と振り返る。


鰐淵圭佑(2024年2月25日撮影)
鰐淵圭佑(2024年2月25日撮影)

練習はうそをつかないという言葉があるが、計画的なトレーニングの成果で成績は右肩上がり。今期のS級昇進にこぎ着けた。

鰐淵の昔を知る後輩たちには「今まで何をやっていたんですか?」と冷やかされるが、ちゃんと練習すればS級に上がれるということを、身をもって教えている。

「当面の目標はまず1勝です。それが負け戦であれば、次は予選でという気持ちになるし、次は決勝へという風になればいい。子どもが4歳の女の子と、3カ月の男の子なんですが、お父さんが走っている、と分かるようになるまでは頑張りたい」と笑った。

努力を実らせたバイプレーヤーが大きな花を咲かせる時を楽しみにしたい。