1番人気の坪井康晴(38=静岡)が、エース28号機のパワーで「圧逃」した。優勝戦は深川真二の前付けにも動じず、イン先制を決めた。SGは08年11月チャレンジC(浜名湖)以来、実に7年4カ月ぶり3度目の優勝となった。獲得賞金は4300万円を超えて、年末のSGグランプリ(住之江)出場に大きく前進した。2着は2コースを取った深川が差し粘り、3着は地元の中野次郎だった。

 「鉄人28号」は、やっぱり強かった。坪井康晴は平和島のエース28号機を存分に生かし切って、SG3度目の優勝をつかみ取った。

 進入でひやりとした。スタート展示は4対2の枠なりだったが、本番で5枠松井繁が好ピット離れで1つ内に入った。後れを取った4枠深川真二は、シビアに回り込んだ。イン坪井は抵抗するしかなく、100メートルを超える進入となった。

 想定外の深い進入にも、坪井は冷静だった。「思ったより(起こし位置が)深くなり過ぎた。スタートは早めに放った後、45メートルからは下を向いていった」。タイミングはコンマ16と慎重だったが、1Mまでに力強く伸びて、回った後は悠々と他艇を突き放した。

 エース機を信じ切った。前検段階では、完璧な手応えではなかった。しかし、出力低減エンジンの調整には自信を持っていた。「初日の5、6枠で2、3着が取れて、2日目の4枠で1着が取れて流れが来たと思った。(正解の)ゾーンもこの辺かなと思った」。優勝戦は午前中にギアケース調整を施して、さらにパワーアップした。「ものすごかった。今節の中で一番良かった」。エース機を完璧に仕上げての勝利だった。

 獲得賞金は4300万円を超えた。SGグランプリ(住之江)出場へ前進したが、坪井の思いは貪欲だ。「まずは(グランプリ2nd組の)6人に入ること。アドバンテージが(1st組と)違うので、6人に残らないと意味がない」。好スタートを切った勢いで、今後のG1、SG戦線も攻めに徹する。【津波謙次】

 ◆坪井康晴(つぼい・やすはる)1977年(昭52)10月7日、静岡県生まれ。82期生として98年5月に浜名湖でデビュー。初優勝は00年10月徳山。SGは06年6月浜名湖グランドチャンピオンで初制覇、通算では3回。G1優勝は9回。同期に菊地孝平、横沢剛治ら。165センチ、51キロ。血液型O。