29日のヤンググランプリは「輪界の笑わない男」松本貴治(26=愛媛)がラストチャンスで優勝した。

松本が3番手から直線強襲し、ヤングGPを制した。

まさに塞翁(さいおう)が馬。前検前日、昼食を取った店に財布を忘れた。後で連絡しても、見つからなかった。現金は5万円ほどだったが、免許証やクレジットカードなどを失った。それが3日後、100倍になって戻ってきた。

レースは「同期の南(潤)が何かすると思って」と、ひとまずげたを預けた。野口裕史が先行態勢に入るとそこに追い上げた森田優弥に切り替え、最終4角からは外に持ち出してVゴール。右手を突き上げた。

02年ヤングGP王者の渡部哲男は「単騎は不慣れなのに、意外に器用だった。久しぶりに興奮したわ」と同県の後輩をたたえた。階段を1段上った松本は「予選でもなかなか勝てない実力だけど、決勝に乗れる選手になりたい」と次の課題を挙げた。【村上正洋】

◆松本貴治(まつもと・たかはる)1993年(平5)12月22日、松山市生まれ。高校から自転車競技を始め、朝日大時代の15年大学対抗でケイリン1位、国体でチームスプリントV。競輪学校(現養成所)111期生として17年7月防府(1<1>(1))でプロデビュー。219戦86勝。通算獲得賞金は5579万3200円。172センチ、80キロ。血液型O。