「真勇会」メンバー。前列右から内藤宣彦(秋田)、花田将司、宮倉勇、成清の弟子の田中要君。後列右から山賀雅仁、成清貴之、小埜正義、森田達也(福島)、中曽直彦(宮倉提供)
「真勇会」メンバー。前列右から内藤宣彦(秋田)、花田将司、宮倉勇、成清の弟子の田中要君。後列右から山賀雅仁、成清貴之、小埜正義、森田達也(福島)、中曽直彦(宮倉提供)

競輪、楽しんでいますか?

先日、千葉のファイター・宮倉勇から1枚の写真が届いた。練習グループ「真勇会」のメンバーが、それぞれいい表情で写っている。

その中には、2月、悲しい出来事があった成清貴之の姿もあった。

宮倉は言う。

「(成清龍之介さんの)葬儀を終えてすぐのころ、成清が突然、グループ練習に出てきたんです。誰もが“もう練習? まだ何日もたっていないのに”と驚きました。“まさか(直後の)静岡は走らないよな?”と聞くと、“レースで走って供養したい”と言うんです。何て強い男なんだと感動して、言葉に詰まりながらも“グループ全員で支えるから”と声を掛けました」

その静岡では、堂々と決勝に進出し、決勝も単騎で見せ場十分の3着と激走。宮倉は「魂の走りでしたね。供養になる最高の走りだったと思います」と心を揺さぶられた。「その後も、前を見て頑張っていますよ。本当に気持ちが強い男です」と驚嘆していた。

成清の悲しみは本人にしか分からないし、決して消えることはないだろう。ただ、それを踏まえたうえで仲間が心から寄り添い、全力でサポートしようとしていることが伝わってきた。

人と人とが戦い、助け合い、泣いて、笑うのが競輪。そんなことを想起させられた1枚の写真だった。【栗田文人】