【山本幸史・ヤマを張れ スペシャル】

◆12R:西日本特選 「まさか、まさかですよ」。GP覇者として、地元に凱旋(がいせん)する古性優作に心境を聞くと、笑顔でこう返ってきた。

栄光の白いチャンピオンユニホームを着てG1を地元ファンの前で走れる喜び。ピリピリムードはなく、とにかく笑顔が多かった。重圧よりも、今この瞬間、瞬間を楽しんでいる表情を見て、本命に決めた。

G1日本選手権(ダービー)後の宇都宮G3は準決で敗退した。G3で決勝を外したのは昨年1月の和歌山以来、1年5カ月ぶり。4番手からまくれなかったレースは、見ていてショックだった。「正直、ダービーのころから全然良くなくて」。

2月のG1全日本選抜を制して以降も、王者として文句ない動きをしていた。ただ、自転車と体との微妙なズレが、時間を経て走りに影響していた。

佐世保全プロ記念からの中16日は「とにかく自転車と向き合った」。自由自在に走る古性にとって、愛車と体との感覚が勝敗を分ける。

鍵を握るのは、前を託された野原雅也の状態だろう。「最近、練習では少し良くなってきた」。不振脱出の糸口は見えている。古性も「頑張る、というから前後はすぐ決まりました。頑張るってのは、(自分の)番手でってことだったのかもしれませんけど」と、冗談を飛ばす余裕の口ぶり。地元の主役を背にした野原なら、後方に置かれる走りをしないのはファンが知っている。

4角番手回りの古性が勝機をつかむ。3番手の東口善朋は連下まで。別線から松浦悠士と清水裕友を厚めに買い、単騎・浅井康太を連下のスパイスに加える。3連単(1)-(3)(9)(5)-(3)(9)(5)(7)(6)の計12点。