◆11R YGPは全ての選手が単騎で走る。展開を読むのが非常に難しい一戦となった。自力で成り上がりたい選手が多いので仕方がない。

人気は、先の別府G3を優勝した松井宏佑だろう。しかし、私は南潤に注目した。近況がいまいちでも、一筋の光は見える。広島G3では、負け戦ながら3日間連に絡んだ。「あれは意地で取ったようなものです」と、負けられないといった雰囲気だったが、復調への手掛かりもつかんだ。「広島で吉本哲郎さんにセッティングを見てもらった。そうしたら、僕の初期のやつを覚えていたらしく『こんなにサドルが高かったか?』と指摘してくれた。そうしたら感じがグッと良くなった」らしい。若い選手は、ちょっとしたきっかけで急上昇を描く時がある。あの3日間は序章かもしれない。

笑顔でツーショットのヤマコウは、南潤(右)のヤングGP制覇に期待した(撮影・鈴木正人)
笑顔でツーショットのヤマコウは、南潤(右)のヤングGP制覇に期待した(撮影・鈴木正人)

南のいいところは、誰が後ろでも自分のタイミングまで動かない大胆さにあった。しかし、人気を背負うとそれが裏目に出るようになり、消極的になった。気づかせてくれたのが、村上義弘の「ちょっと人をあてにし過ぎてないか」のひと言だった。

「自信がないから、自ら動くレースをしていなかった」と振り返る。「全員単騎のレースは考えてもそのようにならないので、少しでも前にいるように動きたい。1番車はその分、有利です」と話す。

衝撃の地元G3デビュー(18年和歌山)から2年たつ。その間に、今度は113期がYGPの主力となった。このまま新興勢力にのみ込まれるのでなく「南潤ここにあり!」を見せてほしい。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)