いよいよ最終12Rで決勝が行われる。ヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)は関東勢の隆盛に一役買っている平原康多に注目した。


ヤマコウは指導者としての一面も見せる平原康多を評価した
ヤマコウは指導者としての一面も見せる平原康多を評価した

(山口)拳矢は決勝に乗ったが、満足できる内容ではなかった。準決10Rは、先行する土生敦弘の4番手を取るまでは良かった。しかし、最終2センターからの仕掛けは遅過ぎる。調子が悪く、最終2角で外に飛ばされた長尾拳太が拳矢の視界に入って迷ったことを考慮しても、2角では仕掛けなければいけなかった。

2予と準決で後ろを回る選手を1人も勝ち上がらせることができなかった。ここが拳矢の弱点だ。デビュー以来、必死で走って余裕がなかったのは分かるが、そろそろ中部全体を見る時が来ている。私は何かすっきりしなかったが、山田裕仁が「地元で、今ある力で確実に決勝に乗ったことは評価できる」と言ってくれたことが救いだった。

私たちが現役のころは中部王国と言われていたが、今は関東、中四国の層が厚い。関東の一翼を担っているのが平原康多の存在だ。私は関東の若手から見た平原像を、本紙村上記者を通じて情報収集した。

森田優弥や黒沢征治は「後ろが誰かは区別するわけではないが平原さんは別」と口をそろえる。黒沢は「迷っているとすぐ声を掛けてくれて、何がいいかを教えてくれる」と絶大なる信頼を寄せる。

むやみにアドバイスするわけではなく、要所で声を掛けるのが平原流だ。しかも、レースをよく見ているので、的確だという。受けた選手は「いつも見てくれている」と意気に感じ「平原さんのためなら…」となるらしい。

私は、平原が声を荒らげているという話を聞いたことがない。今の時代に合った平原のアドバイスは、確実に自分に返ってきていると言えるだろう。勝ち上がれなかった選手のためにも平原は優勝を目指して走る。(日刊スポーツ評論家)

※ヤマコウの決勝予想は、次男・山口拳矢が進出しているためありません。