鈴木圭一郎(26=浜松)が9周3~4角で先頭に立って優勝、大会3度目、SGは10度となる区切りの勝利を飾った。

2着に青山周平、3着に荒尾聡が入った。涙の選手権3度目の制覇だった。

「父や妻(吉川麻季)の顔や、お客さんの声援と、いろいろが重なって」ヘルメットを脱ぐと涙があふれて止まらなかった。「うれしいしか、言葉がない」。思い返せば最初に当地のSGを取った16年の日本選手権でも表彰式で大粒の涙をみせていた。地元のファンの声援に支えられてのSG優勝は格別なものだったことが、うれし涙に現れた。

スタートは5番手発進。「行かれてしまって、引くしかなかった。でもチャンスがあれば行こうと思っていた」。整備はヘッドのバルブ交換。直前までセッティングをしっかりやって、レースへ臨んだ。

「競走車の進み具合はすごく良かったと思う。タイヤは当てたので良かったのがあったのでそれで行った。手前が試走から良くてスタート行けたらチャンスあると思ったんですけど…」結果的にスタートは行けなかったが、逆に追い上げる形で勝利をものにした。

前には青山周平、荒尾聡がつながって走っていた。「いろいろやられたレースとか見て、同じようなレース展開があったらというイメージはしていた」冷静に周回を重ねつつ、前をとらえる準備はしていた圭一郎にチャンスは訪れた。9周回3~4角。内を締めてペースの上がらない青山に対し、荒尾はまくり切る勢いで外へ行く。青山は精いっぱい内から抵抗しわずかに内の懐が空いた! 鈴木はそこを見逃さず、一気に突き抜け先頭に立つと、そのままトップでゴールを駆け抜けた。

「SG10度目? これからも取りたいと思っているので通過点です。今年は、すごくいいとは思うけど、(全冠制覇がかかっていた)オートレースグランプリ取れなかったという悔しい思いもあって。やる気はだれにも負けない気持ちでやっているんで、とりあえず今年2個目を取れて良かったです」とうれしそうに話した。

今後の抱負もシンプルだ。「お客さんに喜んでもらえるようなレースをしたい。年間賞金王やMVPは気にしません。プレッシャーに弱いので(笑い)。1走、1走頑張ります」と話した。

「(今回の優勝戦を)平常心で臨めたな、と思います。いつもSG取れた時に思うんですけど、いい緊張感だったな、と」競走車の調整をやれるだけやって、結果も残した爽やかな緊張感を実感し「レースが楽しかったですね」と締め、今年も残り2カ月弱だが、いつも通りの1走、1走をきれに勝ちきるレースで年末のSS王座戦まで突っ走る。