公営競技の競輪などを統括する公益財団法人JKAは19日、日本競輪選手養成所の合格者を発表した。

北海道からの出願者では、男子の函館大谷高・中石湊(18)、札幌旭丘高出身の京産大・小堀敢太(22)、女子では函館工高出身の佐藤乃愛(のあ、18)の3人が合格。昨年の高校総体1キロタイムトライアル(TT)で2連覇を達成した中石は、将来の目標にKEIRINグランプリ制覇と五輪金メダル獲得を掲げた。

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中石が合格率18・4%の狭き門をくぐり抜けた。競輪選手になるために必要な知識や技術を学ぶ日本競輪選手養成所に合格。昨年10月に実技試験、12月上旬に国語や数学などの基礎学力や作文、面接試験をクリアした。吉報に「緊張感はあったが、自分の力を信じて出し切れたと思う」と喜びを話した。

競輪選手を志したきっかけは小学2年時だった。大阪で生まれ育ち、岸和田競輪場で観戦した際に競技の魅力を感じた。「走っている選手を見てその迫力にひかれた」。中学までは陸上短距離を専門にしていたが、高校から自転車競技に進むことを決めた。

元競輪選手でコーチを務める大森芳明氏(63)の指導を仰ぐ希望もあり、故郷を離れ函館に移り住んだ。練習では通常よりも重いギアを使い、休憩を挟みながら1000メートルを4本走る過酷なメニューもあったが逃げなかった。大森氏は「ここまで追い詰めることができるんだなと。今まで見てきた中ではなかなかいない」と目を細める。

函館大谷高2年で高校総体1キロTTを制覇すると、昨年は大会新で連覇を達成。8月のジュニア世界選手権同種目で銅メダル獲得など実績を残した。養成所には5月に入所予定。約1年間の鍛錬に「まずはしっかり卒業すること。ドキドキもすると思うけど、目標に向かって頑張りたい」と目を輝かせた。

卒業後の目標も明確だ。「最上級の大会、KEIRINグランプリで優勝、オリンピックに出場して金メダルをとれるような選手に」と掲げた。卒業後、競輪と自転車競技の両方に挑む選手も多く、東京五輪代表の脇本雄太が昨年末のKEIRINグランプリ制覇を果たした。中石もトップ選手への道を目指す。【山崎純一】

◆中石湊(なかいし・みなと)2004年(平16)11月14日、大阪市生まれ。高校から自転車競技を始める。家族は母。血液型A。好きな食べ物は焼き肉と母の作るオムライス。目標の選手は大森コーチの息子で競輪選手の大森慶一。174センチ、78キロ。

▼北海道での競輪選手育成を目的とするホワイトガールズプロジェクトの訓練生で北斗市出身の佐藤が、2度目の挑戦で合格をつかんだ。函館工高まで専門は陸上で昨春から本格的に競技を始めたばかり。高校卒業後、アルバイトをしながら受験勉強に励み成果を出した。「まだ実感がそんなにないけど養成所に行くのが楽しみ」と胸を膨らませた。

▼日本競輪選手養成所 1950年(昭25)開設。国内唯一の競輪選手養成機関で、所在地は静岡県伊豆市(旧修善寺町)。約5万坪の敷地に宿舎のほか周回サーキットコース、屋内ローラー練習場など各種設備がそろう。費用は食費、施設利用料など約125万円。約1年間の養成で、例年5月に入所式が行われ、翌年3月に実施される国家試験の選手資格検定の合格を目指す。今回は第125回生(男子)71人、第126回生(女子)20人が合格した。