真杉匠(24=栃木)が吉田拓矢の先行を利してG1初優勝を飾り、初のKEIRINグランプリ出場権を獲得した。

真杉後位が平原康多と清水裕友でもつれ、2着に古性優作、3着には武藤龍生が入った。


栃木勢のG1制覇は、07年高知オールスターの飯嶋則之以来、16年ぶり。真杉は、同県のレジェンド神山雄一郎(25歳5カ月)を上回る24歳6カ月での初タイトル獲得となった。

オールスター決勝を1着でゴールする真杉匠(左から2人目)、2着・古性優作(右手前)、3着・武藤龍生(左)
オールスター決勝を1着でゴールする真杉匠(左から2人目)、2着・古性優作(右手前)、3着・武藤龍生(左)

献身的にラインを引っ張ってきた真杉匠の優勝は、関東勢の総意だった。19日に決勝メンバーが出そろうと、吉田拓矢が前回りを直訴。平原康多-武藤龍生がバックアップを約束した。


「今回は仕上がっているとはいえなかった。本当にラインに感謝しかないです」。


全力で平原がスタートを取り、犬伏湧也の上昇を突っ張ったことで関東勢はレースを支配した。誤算だったのは清水裕友の動きだ。真杉は番手発進で難を逃れたが、平原は追い上げてきた清水と絡んで表彰台が遠のいた。「後ろの状況は分からなかった。(吉田)拓矢さんがあそこまで行ってくれたので、押し切るしかないと思って踏みました」。後続に3車身の差をつけ、拳を突き上げた。

オールスターを制し、スタンドのファンに向けてガッツポーズする真杉匠
オールスターを制し、スタンドのファンに向けてガッツポーズする真杉匠

優勝賞金ボードを掲げて笑顔の真杉匠
優勝賞金ボードを掲げて笑顔の真杉匠

ただ1つ、吉田が暴走により失格となったことが、後味の悪さを残した。「今回は吉田兄弟に世話になりっぱなしでした。拓矢さんマジか…。これから僕が恩返しをしていくしかないですね」。誰かの穴は誰かが埋める。今大会で見せた一枚岩の結束は、関東の未来が明るいことを暗示している。


真杉が神山雄一郎からもらった大切な言葉がある。「俺の初タイトルは25(歳)の時。お前はそれより若いんだから焦る必要なんてない」。結果が出なくて落ち込んでいた自分を救ってくれた。


「神山さんを超えた? 今日(決勝)は番手で取った優勝。自力で取って初めて並べたと言います」。仲間の支えが身に染みた。今後はエースとして関東を背負う覚悟だ。【松井律】

オールスターを制し、表彰式でガッツポーズする真杉匠(左)と魔裟斗
オールスターを制し、表彰式でガッツポーズする真杉匠(左)と魔裟斗

◆真杉匠(ますぎ・たくみ)1999年(平11)2月1日、栃木県宇都宮市生まれ。私立作新学院高で自転車競技を始め、18年7月日本競輪学校(現養成所)113期生としてプロデビュー(函館・予選1着、準決1着、決勝3着)。23年8月西武園オールスターでG1初優勝。通算成績は445戦180勝。総獲得賞金は2億1864万800円。175センチ、76キロ。血液型A。