いよいよ大会もベスト8が出そろった。波乱含みで始まった大会も、準々決勝まで進むと、見慣れたトーナメント表になる。欧州予選で敗退したイタリア、1次リーグで日本に敗れたドイツはいないが、ブラジルやアルゼンチンは順当に並ぶ。

そして毎回の「サプライズ枠」。前回は開催国のロシアが久しぶりに8強入りし、前々回はコスタリカ、その前はガーナが初めて入った。ここに日本がいればとも思うが、気持ちを切り替えて残る大会を楽しみたい。

ここまで来ると、サッカー好きの間では優勝予想が活発になる。今回圧倒的に人気が高いのは、やはりブラジル。そしてフランス。それぞれ口角泡を飛ばしながら持論を展開する。日本代表の応援とは別に、大会の楽しみでもある。

決勝のカードはブラジル対フランスか。解説者と言われる人たちも、この意見が圧倒的に多い。大会前から優勝候補にはあがっていたが、試合を重ねるたびに評価が上がっていく。

両チームに共通するのが1次リーグの最終戦で大幅にメンバーを入れ替えていること。中3日が続く今大会は過密日程対策もカギを握るとされてきたが、ともに決勝トーナメントに向けて休養十分。1回戦では明らかにギアが上がり、圧倒的な力で勝ち切った。

ブラジルは前線のタレントが魅力的だ。東京五輪得点王のリシャルリソンにビニシウス、ラフィーニャらが遊んでいるようにゴールを重ねる。初戦で負傷したネイマールは2試合欠場。回復ぶりが心配されたが、1回戦の韓国戦では圧倒的なプレーを見せた。

攻撃力ばかりが注目されるブラジルだが、今大会は前線からの守備も強力。プレスをかける時の迫力もある。攻守ともに安定感があり、爆発力も魅力。もっとも優勝に近いといえる。

主力にケガ人が相次いだフランスは、大会に入って不安を一掃した。エースのエムバペが強力。スピードだけでなく、シュートのうまさも見せつけ、すでに5ゴールで得点ランキング首位に立っている。

左のエムバペと右のデンベレがピッチの横幅を広く使い、後ろからグリーズマンが操る。やることは分かっても、止められない。そんな強さがある。60年ぶりの連覇も可能性がある。

準決勝はブラジル対オランダ、フランス対ポルトガルか。もちろん、あくまでも予想。そして、多くの場合で予想通りならないのがW杯だ。62年試合の大会も残り8試合。試合ごとにチームが1つずつ減っていく寂しさはあるが、4年に1回のお祭りを最後まで楽しみたい。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIの毎日がW杯」)

韓国戦で戦列復帰したブラジル代表ネイマール(ロイター)
韓国戦で戦列復帰したブラジル代表ネイマール(ロイター)
【イラスト】W杯決勝トーナメント組み合わせ
【イラスト】W杯決勝トーナメント組み合わせ