来季、トップチームに昇格することが決まった札幌U-18のFW藤村怜(18)が15日、札幌市内のクラブハウスで昇格会見に臨んだ。詰め襟の学生服が初々しく「うまく笑顔が作れないんです」と、写真撮影には照れまくり。「キャンプから自分の良さを出せるよう、アピールしたい」と、意気込んだ。

 今季途中に2種登録され、5月3日のルヴァン杯1次リーグ東京戦(味スタ)の先発に大抜てき。得点に絡むことはできず「何もできずに終わって悔しかった」。あっという間に終わったデビュー戦。この試合、同じくJ1公式戦デビューを果たした東京FW久保建英に「年下で、あれだけ活躍できるのはすごい。僕も、より注目されるように頑張りたい」と、ひそかなライバル心を燃やした。

 実家は北海道の中央部に位置する栗山町にある。人口約1万2000人ほどの、小さな町だ。地元の栗山FCでプレーしていたが、札幌関係者の目に留まり、13歳で札幌U-15入りした。以来、常に年齢より1つ上のカテゴリーでプレー。三上大勝ゼネラルマネジャー(GM)によると、1つ上の年代へ“飛び級”する選手は、3年に1度くらいの割合で現れるという。現在、トップチームで活躍するMF荒野も、その1人。必ずしも成功が約束されているわけではないが、クラブ側の期待の大きさが見て取れる。

 九州の2倍以上の面積を持つ広大な北海道で、原石を見つけるのは至難の業だ。札幌では、各地区のトレセンとパイプを築き、情報を吸い上げる。「北海道は全国的に見ても子どもの運動能力が低い。それを打破するためには、小さな年代から改善する必要がある。その一助になれば」と三上GM。地域密着クラブとして、目指すのは道産子のスター選手輩出。さらに、若年層の運動能力向上も狙いの1つというわけだ。

 幼い頃からの夢をかなえた藤村の、次なる夢は、もちろん日の丸を背負うこと。「サッカーを始めた時から、常に日本代表を目指している」。北海道から世界へ羽ばたく“サムライ”の誕生へ。日本最北のJクラブの挑戦は、続く。

 ◆中島宙恵(なかじま・おきえ) 札幌市出身。某通信社で約10年の記者生活を経て、2011年北海道日刊スポーツへ移籍。プロ担当は、野球の横浜(現DeNA)ヤクルト、日本ハムに続いて、札幌が4チーム目。