11月18日、最終戦を待たずに、16年ぶり2度目のJ1残留を決めた北海道コンサドーレ札幌。遠く離れたアウェーの清水戦(アイスタ)には、約1700人のサポーターが駆けつけ、その瞬間を見届けた。前日の晴天から一転、試合前から小雨が落ちる肌寒い日だったが、立ち上がりから終始、相手を圧倒する展開に、赤と黒で染まった敵地スタンドは熱狂した。翌日、早朝便で札幌へ戻ると一面、銀世界。北海道は、すっかり冬だった。

 この大一番を前に、札幌は今季初めて試合2日前に現地入りし、調整した。札幌から敵地の静岡までは、バスや飛行機を乗り継いで片道4~5時間ほどを要する。11月中旬とはいえ、最低気温で氷点下になる日もある北海道から晩秋の静岡へ。白い息を吐きながら練習していた日々におさらばし、試合前日はコートを脱ぎ捨てたくなるほど暖かいピッチで、最終調整ができた。四方田監督は「長い移動で、昨日はみんな、体が硬いと言っていたから(前々日に移動できて)良かった」。寒がりのFWジェイは「良い天気で絶好調だよ」とご機嫌で、言葉通り、翌日の本番では2得点を決めた。余裕を持って早めに移動ができれば、当然、より良いパフォーマンスへの期待値はぐっと上がる。

 今季の目標を達成し、来季は飛躍への大事な1年になる。だからこそ、前々日移動がスタンダードになれば良いのに、と思う。もちろん、費用はかかってしまうのだが。気候の問題を考慮してか、今年11月の敵地2試合(清水戦と26日G大阪戦)については、早い段階から前々日移動を組んでいた。そして、2連勝。開幕から10月までは敵地15試合で1勝3分け11敗と“アウェー・アレルギー”だったチームが、だ。前々日移動は、効果抜群だったと言える。

 J1残留という今季の目標は達成した札幌だが、まだ、3シーズン連続でJ1で戦ったことがない。来季、壁を破り、J1で戦うことが当たり前になるためにも、環境改善を求めたい。

 ◆中島宙恵(なかじま・おきえ) 札幌市出身。某通信社で約10年の記者生活を経て、2011年北海道日刊スポーツへ移籍。プロ担当は、野球の横浜(現DeNA)ヤクルト、日本ハムに続いて、札幌が4チーム目。