J2アルビレックス新潟は第16節終了時で13位。1年でのJ1復帰が目標だが、浮上できない状況が続く。

 そんな中、チームの雰囲気を引き締めている存在が筑波大出身のルーキーMF戸嶋祥郎(22)だ。

 第13節大分戦からは4試合連続フル出場。ポジションは右サイドハーフが中心で、ボランチもこなす。最大の武器は豊富な運動量。ボールを奪いに行き、かわされても追いかけ、奪い取る。逆サイドの守備、攻撃にも顔を出す。ライン際のボールにも最後まで諦めずに全力疾走。「運動量は自分の持ち味なので」。労を惜しまず愚直に汗を流し続ける。

 筑波大では昨年のユニバーシアード優勝メンバー。関東大学リーグでもMVPを獲得した。だが、特筆するようなエリートではない。筑波大には一般入試で入学した。市立浦和で全国高校選手権に出場し3回戦で敗退後、間近に迫ったセンター試験に備えて1日8時間の猛勉強をした。普段も部活後に1日3、4時間の勉強を欠かさなかった。

 サッカー以外の部分の努力がベースになって、今、プロの世界に身を置いている。「プロとしてサッカーができていることに感謝しています」。2月の高知キャンプ。練習試合では終了後に必ずピッチに一礼してロッカールームに引き上げた。練習、試合にかかわらず、ジャージーを必ずパンツの中に入れ、身なりを整えてプレー。サッカーそのものへの感謝を自分なりに表現し続けている。

 今、最も感謝したいのがサポーターだ。成績が上がらない中、常に声援を送ってくれるスタンドに、勝利で応えたいという気持ちが日増しに強くなった。「J1昇格を果たしたい」。最大限の感謝を届けるためにも、「もっと成長しないと。自分もチームも」。その一念でプロとしての歩みを進める。【斎藤慎一郎】

 ◆斎藤慎一郎(さいとう・しんいちろう)1967年(昭42)生まれ、新潟県出身。15年9月から新潟版を担当。サッカー以外にはバスケットのBリーグ、Wリーグの高校スポーツなどを担当する。