カタールのフーヒと競り合う冨安(撮影・横山健太)
カタールのフーヒと競り合う冨安(撮影・横山健太)

アジア杯UAE大会の全日程が終了した。森保ジャパンは決勝まで進むも、カタールに1-3で敗れて2大会ぶりのアジア王者奪還を逃した。

最年少選手の姿に視線を送ることが多かった。DF冨安健洋(20=シントトロイデン)。サッカーの取材を始めてから年代別代表の現場を担当したこともあり、“東京オリンピック(五輪)世代”から抜てきされた若武者がアジア杯の舞台でどんなプレーを見せるか気になっていた。

大会を通じ、想像していた以上のパフォーマンスを見せた。決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦では決勝ヘッド弾で大会最年少ゴールを記録。また最大のライバルと目されていたイランとの準決勝では、相手エースFWアズムンをシャットアウトした。試合を重ねるごとに、安定感が増した。

すでにDF槙野智章、三浦弦太より序列は完全に上になったと見ていい。昨年9月に初めてA代表に招集された時に「継続して呼んでもらえるかは僕次第」と小さな声で話していたのがうそのように、堂々とした表情に変わった。大会後の「技術うんぬんより勝ちたい思いだった。まだまだ力が足りなかった。今日の敗戦を忘れずに、バネにしないといけない」と悔しがる言葉にも力がこもった。A代表でもやれると、確実に手応えをつかんだように見えた。

所属するベルギー1部シントトロイデンには現在6人の日本人選手が在籍しているが、第1号となったのが冨安。前所属の福岡時代から国内の複数クラブも獲得に動いたが、当時19歳で海外に飛び込むことを決めた。口数が多いタイプではないが、胸の内にははっきりとした目標と強い闘志を秘める。今大会でのプレーを見て、さらにレベルの高いクラブで挑戦してほしいと感じた。主力組の最終ラインで唯一“ロシア組”ではなかった新戦力のさらなる飛躍が楽しみでならない。【岡崎悠利】

◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材。16年11月からはサッカー担当で今季は主に横浜とFC東京、アンダー世代を担当。

ピッチで吉田(右)と話し合う冨安(撮影・河野匠)
ピッチで吉田(右)と話し合う冨安(撮影・河野匠)