自動降格圏19位に沈むJ1大分トリニータの巻き返しはなるかー。6月27日FC東京戦は今季最多タイの3失点完敗だった。しかも、3試合連続無得点で攻守とも、かみ合っていない印象だ。ここからが残留できるかの正念場だろう。東京五輪によるJ1中断期間前の7月4日清水エスパルス、同10日浦和レッズ戦で浮上のきっかけをつくり、立て直しを図ってもらいたい。

J1で2番目に少ない12得点で、29失点。厳しい現実がある。まずは直近の清水戦をどう戦うか-。

オンラインで試合前の取材に応じた片野坂知宏監督(50)は、後半戦へ日本代表DF酒井宏樹(31)ら大型補強を進めた浦和戦に触れ「酒井君を取って、柏から江坂君が入ったり浦和さんらしい補強をしている。強力な布陣になるだろうなというその前に当たることになるので、まだその点はある程度良かったのかなという部分もある」と、消極的な一面をのぞかせるほどチーム状況は良いとは言えない。

それでも試合は待ってはくれない。まずは決定力不足の解消が急務の中で、片野坂監督は「守備は粘り強く戦えているが、シュート数が少ない。得点がないところを改善できれば」。DF香川勇気(28)も「(東京戦までの)3試合はシュート数が少ない。アタッキングサードに入る回数が少ないので、リスクをおかしてでもゴール前に入らないと得点は生まれない」と言い「強度、精度を高めていくしかない」と、修正点を重ねて挑む覚悟だ。

五輪中断期間で巻き返しを図る考えもある。片野坂監督は「戦術のオプションをもう少し増やすとか、戦術の変更も含めスタッフと話している」と、打開策を練っている。補強に関してもクラブ側と話し合っているという。ただ、3-4-3のベースは軸で「攻守でアグレッシブにチャレンジできているところは継続させながらというところになる」と指揮官。

だが、やはり最後は気合や執念ではないのか。残り半分の19試合。香川も「勝てない中でポジティブにやれるかが大事。メンタルが大事」と話しているが、これまで以上の決死の覚悟が必要だ。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在Jリーグやアマ野球などを担当、カメラマンも兼務。スポーツ歴は野球、陸上中長距離。170センチ、62キロ。血液型A。