北海道コンサドーレ札幌DF西大伍(34)の気さくな振る舞いに驚いた。今季、13年ぶりに地元クラブに復帰。札幌担当5年目の私は、これまで取材する機会がなかった。初対面した日、あいさつしながら名刺を手渡した。すると、西は「ちょっと待っていてください」と言いながらバッグの中を探し、自身の名刺を手渡してくれた。現役のJリーガー、さらに、プロスポーツ選手との名刺交換は、初めてで驚いた。

マイ名刺について聞いてみた。5~6年前から自費で作製しているという。「人に会って名刺をもらうのに、自分は持っていないのは変だなって思って。自分の名前を覚えてもらいたいですし」。日本代表招集歴もある一流選手。私もそうだが、相手はほぼ、「西大伍」の名前を知っているはず。ただ西はそんな状況を当たり前と思っていないようだ。

とても上質な紙で、おしゃれなデザインの名刺だった。「捨てられない方がいいじゃないですか。こだわりも強いので、いいものを」。なるほどと感心させられた。

そんな親しみやすさは、ファンへの対応にもあらわれている。「オンラインサイン会」を自ら企画した。背番号入りユニホームを送付すれば、サインを入れて返送される粋なイベントだ。しっかりと名前を呼びながらサインする動画も配信。コロナ禍で練習見学が許されず、直接ファンサービスを行えない現状で、できることを探し、実行している。現在、順次サインを入れて返送中だといい、SNS上では、届いたファンからのうれしそうな報告を目にすることができる。

西のもとに届いたユニホームは約700枚らしい。大変じゃないのかと聞くと「自分のためにもなる。応援してくれる人たちと触れ合うことでパワーをもらえる」と楽しんでいる様子だった。今後もさまざまな企画を考えているという。

【札幌担当=保坂果那】