<高校サッカー:立正大淞南2-2(PK5-4)西武台>◇準々決勝◇5日◇フクアリ

 得点ランクトップの立正大淞南(島根)MF加藤が、前半10分に先制ゴールを奪いチームを勢いづけた。FW池田からのパスに右サイドから鋭く反応した。ダイレクトで左足を振り抜き、逆サイドのネットを揺らした。これで4戦連続となる通算7点目だ。「右から中に入る得意な形」と振り返る会心の1発に、スタンドへ向かって何度も拳を突き上げた。

 視線の先には父大翔さん(54)の姿があった。「こんな親孝行な息子はいないですよ」と涙を浮かべていた。奈良県で石材会社を家族で営むため「学校に何か残してあげたい」と発案。島根県勢初快挙となる躍進や、得点王へ突き進む息子のゴール数分の記念石碑などを計画中だ。父は8日の仕事を急きょキャンセルした。介護福祉士の母みえこさん(49)も勝利の知らせに感涙。仕事の都合で初戦から上京できていないが、10日の決勝に進めば駆けつける予定にしているという。

 2-1で迎えた後半ロスタイムにラストプレーで同点に追いつかれPKでの勝利。「ドキドキしました。僕は足がつっていたんでみんなに託しました。GKの三山を信じていました」と加藤は安堵(あんど)の表情を浮かべた。準決勝は同じく4戦連発中の滝川二(兵庫)FW樋口との直接対決。「自分が点をとって、国立でも勝ち続けたい」。優勝と得点王ダブル獲得へ、得意のドリブルで突き進む。【鎌田直秀】